ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
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ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2021.06.15

【対談】特別対談「スポーツ庁長官 室伏広治のアスリート近影」 川井梨紗子選手(レスリング)編《前編》

※この動画は、令和3年3月に撮影したものです。

・川井選手と室伏長官との共通点
・両親の影響で始めたレスリング――初めての試合での敗退で本気に
・初めてのオリンピック――リオデジャネイロ大会を経て得たもの
・オリンピックの"連覇"を目指すということ

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年はこれまでとは環境が大きく変わった1年になりました。その中において、トップアスリートたちは延期となった東京2020大会に向けた努力を重ねてきました。
東京2020大会での活躍が期待されるトップアスリートの言葉を通じて、競技やアスリート自身の魅力を再発見するとともに、スポーツがもたらす前向きな力を発信していくため、室伏スポーツ庁長官との対談動画をシリーズで公開します。
今回は、川井梨紗子選手(レスリング)です。

川井選手と室伏長官との共通点

櫻木
室伏スポーツ庁長官とトップアスリートの対談企画。今回は、レスリングの川井梨紗子選手にお越しいただきました。川井選手、よろしくお願いいたします。

川井
お願いします。

室伏
お願いします。

櫻木
川井選手は、前回初めて出場したオリンピックである2016年リオデジャネイロ大会で、63kg級で金メダルを獲得されました。その後、2017年から2019年にかけて、世界選手権でも3連覇中であり、今年の東京オリンピックにも57kg級での出場が内定しています。川井選手といえば、妹の友香子選手も62kg級で東京大会代表に内定されているということで、室伏長官も、2004年にアテネ大会で、妹の由佳さんとともに出場されていますが、やはり、きょうだいで出場というのは特別な思いっておありですかね。

室伏
私も、兄妹っていうか、親もね、父がハンマー投げ選手で、憧れてハンマー投げを始めましたけれども。同じように?

川井
はい、そうですね。

室伏
ご両親ともレスリングされていて、それで妹さんもってことで。

川井
はい、そうですね。

櫻木
やっぱり、練習の面でも、同じ東京大会出場の舞台に上がるっていう意味で、お互い励まし合ったりとかしながら、今も練習されているんですか。

川井
そうですね。どちらかが調子が悪くて落ち込んでいたら、「まぁ大丈夫だよ」って、慰めるじゃないですけど、「まぁ明日もあるから頑張ろう」っていう風に、励まし合ってやっていきますね。

室伏
レスリングの話ばっかりに、やっぱりなるんですかね。

川井
よく言われるんですけど、意外と家ではあまり話をしなくて。

室伏
そうですか。

両親の影響で始めたレスリング――初めての試合での敗退で本気に

櫻木
先ほど少し、ご両親がというお話があったんですけれども、川井選手がレスリングを始められたきっかけというのは、やはりご両親。

川井
そうですね。両親ともにレスリングをやっていたんですけど、父がやらせたいというか、遊び感覚で連れて行ってくれて、そこからが始まりですね。

櫻木
初めはいかがでしたか。

川井
でも、全然記憶がなくて、当時の。けど、そのあとから訊くと、練習場に連れて行かれて、始めてすぐに大会に出させられちゃって。もちろん、練習してないから負けるじゃないですか。練習してないのに、負けて泣いていたらしくて。それで、「もうこれからはちゃんとやる」って言って、始めたらしいんですね。

室伏
そうですか。いきなり試合に出させられたんですか。

川井
はい。県内の本当に小さい大会なんですけど、そこで、男の子に負けたのかな、たしか。それで。

室伏
レスリングの魅力はどんなところにあるんですか。

川井
相手との駆け引きというか、試合が6分間あるんですけど、最後の1秒に逆転があって勝敗が入れ替わっちゃったりとかっていう、ぎりぎりまで何があるかわからないっていうのが楽しいというか。だから、最後まで絶対勝ちたいっていう気持ちがあるほうが勝てるので。なんて言うんだろう、そういう駆け引きがすごく楽しいなって思ってやっています。

初めてのオリンピック――リオデジャネイロ大会を経て得たもの

櫻木
川井選手、2016年の21歳のときに出場された、リオデジャネイロ、初出場のオリンピックで金メダルを獲得されたということで、今振り返られてどうお感じですか。

川井
そうですね。初めてのオリンピックで、選手村っていうものに入るのも初めてで。何もかもが初めてすぎて、はっきりと覚えていることって多くはないんですけど、何もかもが「すごい、すごい」というか。オリンピックってこんな盛大なんだなっていうのを。なんか衝撃的だったというか...。というのを、一番覚えています。

櫻木
オリンピックに出場されますと、他の競技の選手との交流もあるかとは思うんですけれども、他の競技の選手から、何か刺激をもらったりとか、学ぶこととかもあるのでしょうか。

川井
他の競技を観ることって、あんまり元々なくて、テレビのニュースで観るくらいしかなかったんですけど、自分がオリンピックに出てから少しずつ興味を持ち始めて。オリンピックとか大会だけじゃなくて、合宿所で他の競技の同級生の子とかと会ったりすることも増えて、その子の大会の結果とかもちょっと見るようになったりとか。で、直接会うと「最近、調子どう?」って話をしたりとか。今まではレスリングっていう競技の枠の中でやってきていたものが、違う競技だけど同級生っていうつながりがある子たちと、一緒に頑張っている、「頑張ろうね」、「一緒にオリンピック行けたらいいね」っていう話をするようになったので、本当、刺激がすごく増えました。

櫻木
やはり、そういった交流っていうのは...?

室伏
きっとね、そういう違う競技の方からも学ぶこともあるでしょうしね。

川井
そうですね。

室伏
レスリングの枠を超えて、是非頑張ってもらいたいですね。

オリンピックの"連覇"を目指すということ

櫻木
今回の東京大会、川井選手にとっては連覇を目指すっていうことになるんですけれども、長官ご自身も、金メダルを獲得されたアテネ大会の後ですね、北京大会は連覇を目指されたわけなんですけれども、そのときを振り返ってどうお感じですか。

室伏
4年ごとに世界の選手の状況も変わったりするので、前回の大会とは随分状況は違いますけども、ベストを尽くしてやりましたけどね。

櫻木
気持ちの面では違う思いが。

川井
初めてのときは、世界チャンピオンになったことがない状況で、ただチャレンジャーとして挑むオリンピックだったんですけど、リオ以降の世界選手権は、今、3連覇していて。世界からの私を見る目も変わっているし、やっぱり。

室伏
やっぱり平常でね、普段通りにやることが大事なんですけども。ただ、普段通りになかなかいかないですよね。注目されることは素晴らしいことではある一方で、なかなか、自分の思うようにすべてがいくわけじゃないこともあるでしょうし。狙いすぎると、なんて言うのかな、細かいところを忘れちゃったりしますよね。金メダルしか目がないとですね、技術がおろそかになっちゃったり。やっぱり、その瞬間瞬間をね、大切にして。

川井
そうですね、はい。

室伏
私も、最後まで、最後の投てきまで、一生懸命やろうと思ってやりましたけどね。当たり前かもしれませんけど、なかなか難しいんですよね、普通にやるのは。

川井
オリンピックに4大会出られているじゃないですか。どうしてそんなに長く続けられたのかなって。私はいま2回目を目指していて、リオから、4年、5年、すごくあっという間でもあったんですけど、苦しいなって思って。もう、4回ってなると、そのさらに倍じゃないですか。どんなモチベーションというか...。

室伏
最後のほうは、体力も落ちてくるし、コンディションを保つのもすごく難しいんですね。調子が良い日が毎日あるわけじゃないので、それを上手に合わすっていうのは一番大変なところだったと思います。若い頃は、自分のメンタルやそういったところも含めてコントロールするのが、多少難しかったなとは思うんですけども。でも、どれも同じではなくて、それぞれ、やっぱりテーマが全然違ったので、それなりに全部思い出深いなとは思いますけどもね。でも、4年は長いですよね。

川井
はい。

室伏
で、今回の5年は長いですよね。

川井
5年...。そうですね。

室伏
普通のオリンピックなら4年に1回でも長いなと思うのに。その次は、だって、また今度3年であるわけですよね。

川井
そうですね。ちょっと早くなる。

室伏
今度は早くなるっていうわけですけど。是非ね、楽しむっていう言い方が良いかあれですけども、やっぱり、レスリングを追求して、誰もやっていないことを是非やってね、頑張ってもらいたいですね。

川井
はい、ありがとうございます。

→→→川井選手との対談 後編はこちら!

【プロフィール】
川井 梨紗子(かわい・りさこ)
小学校2年生の時からレスリングを始める。中学・高校とトップレベルで活躍し、至学館大学に進学後、シニアでも世界トップレベルの実力をつけ、2016年のリオデジャネイロ大会では63kg級で優勝。東京大会では57kg級で代表に内定しており、連覇に挑む。妹・友香子も、62kg級で東京大会代表に内定。JOCシンボルアスリート。


DEPORTARE

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