ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2020.01.31

「スポーツ」の定義っていったい何なの? 語源から探ってみた

スポーツ庁では、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことはすべての人々の権利」という「スポーツ基本法」に掲げられた理念の下、誰もが身体を動かすことを心から楽しみ、健康で、豊かな日本を作るべく取り組みを進めています。

今回は、その大前提である「スポーツ」とはいったい何なのか、われわれは日常の中でどのようにスポーツと関わり合うことができ、どのような効果を享受できるのかについて解説していきます。

豊かな未来につながるスポーツの真価
スポーツは「する」だけじゃない!

「スポーツ」と聞いて、みなさんは何が頭に思い浮かぶでしょうか? 陸上や水泳、野球にサッカー、テニスといった球技など、いわゆる体育の授業や部活動で経験したことがある競技種目を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

このような競技としてのスポーツには、ルールがあり、勝ち負けがあり、また自分の限界に挑戦していくような、どこかストイックなイメージがあります。「少しとっつきにくいなあ」と敬遠してしまったり、そもそも激しい運動に苦手意識を持っていたりする方もいるでしょう。

しかし、「スポーツ」という言葉が示す範囲は本来とても広いもので、決して競技スポーツに限るものではありません。スポーツ庁が定める「第二期スポーツ基本計画」では、スポーツとは「身体を動かすという人間の本源的な欲求に応え、精神的充足をもたらすもの」と定義されています。

たとえば、朝の体操から何気ない散歩やランニング、気分転換のサイクリングから、家族や気の合う仲間と行くハイキングに海水浴など、その範疇はさまざま。つまり、スポーツとは一部の競技選手や運動に自信がある人だけのものではなく、それぞれの適性や志向に応じて、自由に楽しむことができる「みんなのもの」なのです。

そして、スポーツとの関わり方は「する」ことだけに留まりません。たとえば、つい先日まで韓国の平昌で開催されていた冬季オリンピックを夢中で観戦し、応援していた、という方も多いでしょう。われわれはスポーツを「みる」「ささえる」という行為によって、自分との戦いに身を投じる一流アスリートの姿に心を震わせ、勇気をもらうことができます。

2019年に日本で開催されたラグビーのワールドカップ、さらには今年開催される東京オリンピック・パラリンピックも同様に、「する」だけでなく「みる」「ささえる」ことも含めて、スポーツは"日常生活の一部"であり、あらゆる人の人生に活力や感動を与えてくれるものなのです。

本来、「スポーツ」とは「気晴らし」である

そもそも、みなさんはスポーツという言葉の語源をご存知でしょうか? スポーツ史という分野の研究によれば、英語の「Sport」は19~20世紀にかけて世界で一般化した言葉であり、その由来はラテン語の「deportare」(デポルターレ)という単語だとされています。

デポルターレとは、「運び去る、運搬する」の意。転じて、精神的な次元の移動・転換、やがて「義務からの気分転換、元気の回復」仕事や家事といった「日々の生活から離れる」気晴らしや遊び、楽しみ、休養といった要素を指します。

つまりこれらがスポーツの本質であり、人生を楽しく、健康的で生き生きとしたものにするために、より楽しむために勝利を追及するもよし、自分ペースで楽しむもよし、誰もが自由に身体を動かし、自由に観戦し、楽しめるものであるべきなのです。

スポーツがストレス解消と生活の充実につながる

「ストレス」と「運動習慣」の密接な関係

楽しく、適切にスポーツを習慣継続することは、われわれの健康寿命を伸ばすことにつながります。加えて、ストレス解消や生活の充実度向上にも、スポーツは貢献しているのです。

平成28年にスポーツ庁が実施した調査によれば、運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」「まあ感じる」と回答した人は男女・年代問わず90~95%にのぼります。さらに、週1日以上運動をしている人は、週1日未満の人よりも、「大いに感じる」と答えた人が約20%も多いという調査結果も出ています。

こうした感覚的な評価に加え、医学的にも運動とストレスの関係は実証されています。たとえば、2000年から群馬県中之条町にて高齢者の日常的な身体活動と心身の健康に関する研究が行われてきました。「中之条研究」と呼ばれるこの調査によれば、1日あたり4000歩を歩き、うち5分間を中強度の運動(速歩きなど)にあてることで、うつ病を予防・改善できる可能性があることが分かっています。これを8000歩、20分に増やせば、今度はがんや高血圧症、糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながるとされています。

ウォーキングやジョギングによってうつ病を予防できることは、その他のさまざまな研究からも明らかになっています。有酸素運動をすることで、脳や心のバランスを保つ「セロトニン」という成分が活性化し、不安や抑うつ状態が改善され、幸福度が高まるのです。

運動・スポーツの実施状況別で見る「充実度」

また、同じくスポーツ庁の調査には、「毎日の生活が充実しているか」という質問項目がありました。この結果を見ても、運動・スポーツと生活の充実度には相関関係があることが分かります。

男女・年代を問わず、毎日の生活が「充実している」と答えた人の割合は、週1日未満の群と比べて週1日以上運動・スポーツを実施している群の方がおよそ1.5倍も多いのです。

このことからも、日々の運動習慣、スポーツを楽しむことが、人々の"心の持ちよう"と密接に関わっていることが分かります。

まとめ

スポーツは、「する」「みる」「ささえる」といろいろな形で、誰もが気軽に楽しめるもの。加えて、高い志や負荷がなくとも、ほんのちょっとした運動によって生活がより豊かになることが分かっています。空き時間を使ってのウォーキングや、家族との散歩など、簡単なことからで構いません。普段より少しだけ「身体を動かす」ことを意識してみるだけで、私たちの生活はより楽しく、充実したものになるはずです。


DEPORTARE

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