ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.04.25

#スケートボード 華麗な"メイク・トリック"を目撃せよ!

実況MCの絶叫、流れるHip Hopのリズム、コンクリートを滑走する時のシャー、シャーという車輪の音。そして、選手が華麗な「トリック(技)」を決めた時に沸き起こる「メイク(技の成功)」を賞賛する拍手と大歓声。競技場はまるでロックのライブ会場のよう。これがアーバンスポーツ(都市型スポーツ)として若者に大人気のスケートボードの世界です。

オリンピック競技になったスケートボード、その魅力は?

東京オリンピックから正式種目となったスケートボードは、ボードに乗って繰り出されるジャンプや回転などのトリック(技)の難易度や完成度、スピードやオリジナリティーなどを競う採点競技。男女ともに「ストリート」と「パーク」の2種目があります。

「ストリート」は、街中にある手すり(ハンドレール)や階段(ステア)、縁石(カーブボックス)、斜面(バンク)を模した「セクション」と呼ばれる構造物が配置されたコースで行われる種目。スケートボードを操るテクニックやバランス感覚が問われます。

「パーク」は、お椀をいくつも組み合わせたようなくぼ地状のコースで行われます。斜面を勢いよく駆け上がって縁から空中へとジャンプした時のエア・トリックの高さや難易度、完成度、美しさなどが問われます。スノーボードの世界的スターで、オリンピックで2回連続銀メダルを獲得した平野歩夢選手が挑戦しているのは、この種目です。

2019スケートボード日本オープン JSFパークスタイルコンテスト 3位の平野歩夢選手

5人の審判員がそれぞれ10点満点で採点するスケートボード。最も重要なのは、選手が繰り出す「トリック(技)」です。独創的な「トリック」に価値を置くスケートボードでは、難易度の高い技を組み合わせて、新しい「トリック」を成功させれば高い得点が出る一方、前に滑走した選手と同じ「トリック」を行えば、高い評価は得られないという特徴があります。スケートボード日本代表コーチを務める早川大輔さんは、選手から攻めのトライアルを引き出そうとするこの採点方法が、競技の魅力の源になっていると言います。

日本ローラースポーツ連盟 スケートボード日本代表コーチ 早川大輔さん

(早川大輔さん)
「スケートボードでは、最初にその「トリック」を成功させた選手に高い得点が出て、次の人が同じ技をすると評価は下がるんです。前の選手のアイディアを真似したんでしょ、ということになるからです。スケートボードは数百にも上る基本の「トリック」を組み合わせたり、回転数を増やすなどすることで、常に新しい「トリック」が求められる競技です。そこがはまっちゃう面白さでもあるんです」

一方で早川さんは、ショーとして発展してきたスケートボードの採点には、まだ曖昧な部分があることも否定できないと指摘します。

(早川大輔さん)
「審判員はパフォーマンスの完成度をトータルで見てジャッジしますが、有名な選手になると審査員の期待値も上がって、点数が高めに出ることもあるんです。例えば、フィギュアスケートは技の基礎点が決められていて、その完成度によって加点されたり減点されたりしますが、スケートボードにはそのような明確な基準はありません。東京五輪から正式競技になったわけですが、まだ100%スポーツになりきれていない、カルチャースポーツの側面が残っているのも事実なんです」

"一発逆転の下克上" を目指せ! スケーターの飽くなき挑戦

独創的な「トリック」を決めると高い評価が得られるスケートボード。これから滑走する選手は前の選手がどんな技を繰り出し、何点の評価を得たのかを見ながら、自分の「トリック」を決めると言います。前の選手と同じ「トリック」を出すのか、リスクの高い独創的な技に挑戦して一発逆転を狙うのか、ライバル選手の順位や自分の調子などを勘案しながら、スタートラインを超えるその瞬間まで考え抜きます。

日本ローラースポーツ連盟 スケートボード日本代表コーチ 早川大輔さん

(早川大輔さん)
「選手は本番が始まると、前の選手がどこでどんなパフォーマンスをして、それが何点だったかを覚えておきます。それを目安に、勝つために必要となるポイントのために、どこで何をすべきかを考え、次のスタートに備えるのです。逆転を目指すなら、練習で一回も成功していないトリックを本番で、なんてことも珍しくはありません。かなりの集中力と、自分をコントロールする力がなければ勝てません。選手は緊張と不安、恐怖心とせめぎ合いながら、孤独で過酷な戦いに挑み続けているんです」

スケートボードの基本的な「トリック」は数百にも及びます。選手はその「トリック」に回転やひねりを加えたり、複数の「トリック」を組み合わすなどして、独創的で新しい「トリック」を生み出します。そして練習して完成度を高め、大勢の観客の前でメイク(技の成功)する、これこそがスケートボードの選手が最も大事にしている美学なのです。

(早川大輔さん)
「スケーターは、これまでやったことのないトリックに挑戦できることが楽しくて仕方ないんです。観客も、次はどんな「トリック」を見せてくれるのか、ワクワクしながら待っています。だからこそ選手は、例え失敗したとしても果敢にトライすることを躊躇(ちゅうちょ)しません。スケートボードは挑戦し続けるスケーターがリスペクトされ人気を集める、そういう世界なんです」

車輪のついた長さ80㎝ほどの板が繰り広げる、スケートボードの世界。観客が魅了され、熱狂してしまう理由は、失敗を恐れず常に前を向いて挑み続けるアグレッシブなスケーターの姿にこそ、あるのかも知れません。


NHK
NHK 東京2020オリンピック・パラリンピックサイト

メダルを目指して厳しい練習を重ねるアスリート、選手を支える大勢の人々。 東京2020は、様々な人たちがたくさんのドラマを繰り広げる、世界スポーツの祭典です。 「⇒2020」は、一人ひとりの未来への挑戦を応援します。