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東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.09.13

青学・原晋監督 東京五輪マラソンコース攻略の鍵はカーブにあり


東京オリンピックとほぼ同じコースで行われるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。日本のトップ選手、男子31名、女子12名が出場し、それぞれ上位2位に入ると、東京五輪の日本代表に内定します。真夏の東京を走る東京五輪の前哨戦とされるこの大会で勝利をつかむには、何が必要なのでしょうか。青山学院大学を箱根駅伝の強豪校に育て上げた原晋監督にコース攻略の鍵を聞きました。


―― 東京タワーと皇居前の2か所の折り返し地点を含めて、カーブが多いコースですね。


原監督:カーブが多いレースというのは、ふたつの懸念があります。ひとつは転倒や接触などのアクシデントが起こりやすいこと。前半は特に集団でレースをおこないますから、カーブでは減速しながらコーナーを回ることになりますが、交通渋滞のように選手同士の距離が詰まって、転倒や接触のリスクが大きくなります。鋭角なカーブや折り返しが何度もあるので、集団のどこで走るのか、位置 取りが重要になると思います。 

折り返し地点 大阪国際女子マラソン(2018年)

原監督:もうひとつは、足にマメができる可能性あるということです。カーブではスピードを緩めたり、ストレートのコースとは異なる重心で走ったりするので、足の角度も変わります。すると、靴がすれてマメができやすくなります。練習を積んでいる選手でも、何度もコーナーを走っているうちに、想定外の負荷が足にかかり、マメができるリスクが高まります。もし、前半にできてしまえば、マメを抱えたまま残りを走ることになり、大きなハンデになります。

マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)のコース

東京五輪のマラソンコースは、スタート直後の富久町西や外堀通りから白山通りに入る水道橋、靖国通りから中央通りに入る須田町など、交差点を右折したり左折したり、鋭角に曲がるポイントが20以上もあります。折り返し地点も東京タワー付近の25㎞と皇居前の32㎞の2か所に設置されていて、カーブの多さが際立っています。

―― 鋭角に曲がる交差点では、集団が縦長になります。先頭の選手が見えにくくなることもあると思うのですが、カーブが多いことでレース展開にどんな影響がでますか。

原監督:カーブでは、レースが動く、変動する可能性があります。集団のままカーブや折り返しをクリアするのは難しいため、どうしても集団が間延びします。すると、カーブで後ろに下がってしまった選手は集団に追いつこうと、スピードをあげることを強いられます。逆に自分のペースを守ろうと、スピードを上げなければ、集団の先頭と離れてしまい、いつのまにか後方でレースをしなければ 
いけない状況に陥ります。集団が分割されることもあるでしょう。

原監督:したがって、カーブが多いコースというのは、勝負どころが、増えることになります。例えば、ポンと抜け出した先頭の選手に後方の選手が追いつこうとすると、エネルギーを余計に使うことになり、リズムが崩れます。マラソンで一番大切なのはペースを乱さず、リズムよく走ることなんですが、カーブのたびにアクセルを踏んでいたら、体にも異変が起きるでしょう。

―― では、コーナーではどんな走り方をすれば良いのでしょうか。


原監督:私ならあまりコーナーでは、内側に入らないようにしますね。特に集団での走行では内側に入り過ぎると、身動きが取れなくなります。そうなると、前の選手が転倒しても対応することができません。また、先頭の選手がスパートしても、自分の前に選手が詰まっていれば、対応できません。外側に逃げていた方が遠心力を使ってスピードを落とさず走ることができるし、前の選手が転倒した時もセーフティーなスペースがあるので、そちらに逃げることもできます。

青山学院大学陸上競技部 原晋監督


―― 選手同士の距離が詰まる場所と言えば、給水ポイントもあります。同様のリスクがありますか。

原監督:その可能性はあります。1992年のバルセロナオリンピックで谷口浩美選手が転倒してしまったのも、給水ポイントでした。厳しい暑さが予想されるMGCや東京オリンピックではアクシデントを避けて、給水を取らないという選択肢はありません。集団で走っている前半であっても給水を取らなければ、後半になってそれが響いて来ることになると思います。したがって、給水ポイントで選手が詰まってしまい、転倒リスクが高まります。

谷口浩美選手(1992年バルセロナ五輪)

―― 東京オリンピックのコース、選手はどんなレース展開をすればいいのでしょうか


原監督:転倒や接触といったアクシデントは、普通はレース以前の問題ですが、東京五輪のコースは、それが起りうる特徴を持ったコース設計になっています。ですから、そうならないよう、自分の力を出し切れるよう、42.195㎞をコーディネイトしながら走って欲しいですね。極端なことをいえば、いままでのマラソンとは、全く異なる条件でのレースになると思うので、男子なら2時間8分とか、2時間10分という通常のマラソンのペース配分の常識にとらわれないことです。通常でも後半のラップタイムは落ちますが、暑さで30㎞から一気にペースが落ちますから、そこまでペースをキープできていれば、逆転もあり得ると思います。1分程度の差なら、諦めなければ、勝機はあると思いますよ。


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