ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2017.07.30

妖精たちの衣装は日本製!?

1985年からブルガリア新体操ナショナルチームにレオタードを提供している株式会社ササキスポーツ副社長・廣西二葉さん(左)、チーフデザイナー・尾高敦子さん

新体操の名門ブルガリアのナショナルチームの選手たちが国際試合で身につけているレオタードの多くは、実はある日本の企業が作っていることをご存じですか?
過去20年ほどの間に大きく様変わりした新体操のレオタード。その変遷について、ブルガリアチームのレオタードの製作を手がけるスポーツ用具メーカー副社長の廣西二葉さんと、チーフデザイナーの尾高敦子さんに聞きました。

強豪国がリードするレオタードのトレンド

最近のレオタードはフィギュアスケートの衣装のようですね

1996年アトランタ五輪 オールタイツ姿のアミーナ・ザリポヴァ選手(ロシア)

【尾高】私は1988年のソウル五輪の頃からずっと新体操のレオタードデザインに携わってきましたが、今まで大きな転機が2回あったと思います。最初の転機は90年代の中頃、オールタイツと呼ばれる、足首まで覆うタイプのものが出てきた時です。ロシアやウクライナの選手が使用したことで、各国に広がりました。

2007年プレ五輪大会 スカート付きレオタード姿のステラ・スルタノヴァ選手(ブルガリア)

そして、最大の「革命」だったと感じているのが、スカート付きレオタードの登場です。2000年頃からロシアの選手が試合で身につけるようになったのをきっかけに大流行しました。今ではスカート付きがすっかり当たり前になっています。この他にも、ラインストーンやスパンコールなどの光る素材を付けたり、レース使いも多くなりましたし、最近では襟を付けたり、ギャザーやタックをつけるなど、立体的な縫製のものも出てきました。

なぜこれほど変わったのでしょう、ルールが変わったからですか?

【廣西】どちらかというと、まず選手やコーチから「もっとこういうデザインのレオタードを着たい!」という要望があって、その要望が認められるかたちで徐々にルールが改定されていく、という流れがあるようです、海外では特に。やはり採点競技ですから、選手達としては、審判の心により強い印象が残る衣装をと考えるのでしょうね。

強豪国ロシアはレオタードの流行にも強い影響力があるのですか?

【廣西】やはり上位選手の影響力は大きいと思いますね。日本代表フェアリージャパンはロシアでたびたび長期合宿をしていますし、衣装についてもロシア風のテイストを感じさせるものがあります。他の日本選手も、ロシアやブルガリアの選手が着ているようなデザインのものを着たがる人は多いです。インスタグラムなどの写真を持ってきて、「これと同じものを作ってください!」というリクエストをいただくことはよくあります。事情は他の国でも似たり寄ったりだと思いますよ。

ブルガリア新体操の「芸術性」を支えるレオタード

ブルガリアの新体操の魅力はどんなところ?

【尾高】高い芸術性ですね。言葉で表現するのは難しいのですが、演技にドラマチックさがあるというか。物語や哲学を感じさせる奥深さがあるところがブルガリアらしいと思います。

ブルガリアらしさを、レオタードでどう表現?

手染めのレオタード姿のブルガリアのディアナ・ポポヴァ選手

【尾高】バラが国花だからでしょうか、ブルガリアの人たちは花がとても好きなので、花模様はよく取り入れますね。それから、彼女たちは赤黒白など強さを感じさせるはっきりした色が好きなので、これもよく使います。あとは私自身が「遊び心」や「挑戦心」を持ってデザインするように心がけています。

尾高さんが特に思い出に残っているレオタード?

【尾高】90年代に作っていた手染めの柄のものですね。私たちがこれを作り始めた当時、他の誰もこういうものは作っていませんでした。染料を煮る作業からすべて社内でやりました。社屋の隅に小さなシンクとガス台を備えて、寸胴のお鍋に染料を溶かして。染料のことなんて何も知らなかったので、染料屋さんに教わりに行ったりして試行錯誤を繰り返しました。

【廣西】これが難しいんですよ、私も尾高に教わってやってみたんですけど、なかなか思うような色が出なくて。二人で汗水垂らして頑張ったわね。

【尾高】染めて乾いてみないと実際の色が分からなかったですしね。焼き物みたいでしたね。焼いて炉から出てくるまで仕上がりが分からない。一期一会なのでたくさんは作れなくて、手元に一つも現物が残っていないのが残念です。

デザインから仕上げまですべて尾高さん一人で?

【廣西】いえ、レオタードはチームワークで作っています。たとえば縫製はレオタードを縫う専門のベテラン職人さんが都内の自家工場に詰めておりまして、その人たちが専用のミシンを使って縫っています。レオタードは伸縮性の高い柔らかい生地なので、その道の専門家じゃないときちんと縫えません。10年やってようやく簡単なレオタードが縫えるようになるというところでしょうか。

東京2020、どんなレオタードでブルガリアチームを支えますか?

【尾高】まだ具体的なデザインまでは分かりません。レオタードは日進月歩ですから、東京大会までにどんなびっくりするような「革命」が起こるかわからないですしね。

【廣西】いずれにせよ、彼女たちの魅力を最大限引き立てるようなものを作って、ブルガリア新体操の魅力を日本の皆さんにもより深く楽しんでいただけるよう、最善を尽くしたいですね。

この記事はBS1「 世界はTokyoをめざす」に関連して制作したものです。
https://www.nhk.or.jp/tokyo2020/enjoy/eye/sekaimezasu.html


NHK
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