ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.07.23

代わりのきかないパートナーと掴んだ日本一。そして、これから目指す夢の舞台

2018年2月、高松市ヨット競技場に、香川県の高松商業高等学校ヨット部3年の長岡叶子(ながおか・かなこ)さんと森七海(もり・ななみ)さんの姿があった。2017年のインターハイ(第58回全国高等学校ヨット選手権)420(よんにーまる)級女子で優勝したペアは、これから別の道を歩み、夢の舞台で再会したいと語った。

長岡さんがセーリングを始めたのは、小学校5年生の時。「新しいスポーツをしたいというか、変わったスポーツをしたいと思っとって」というのが、きっかけだ。興味本位で始めたスポーツに、すぐにのめりこんでいった。「週一回で、一個ずつ何か出来ていくことがあって、その一個ずつできていくのが、すごく楽しくてはまったというか」

長岡さんとペアを組む森さんは、海が大好きな少女だった。小学生まで小豆島で過ごし、漁師の祖父に付いて漁に出かけていたという。「慣れ親しんできた海でスポーツができるというのは、すごい良いことかな」と、高校入学とともにヨット部に入部した。

二人の種目は、420級という二人乗りのヨットを操る種目。長岡さんがヨットの舵取りをするスキッパー、森さんがレース中のコース取りやヨットのバランスを取るクルーというポジションだ。セーリングは、波を読み、風の力でヨットを進めていく競技。風が強くなるとヨットは傾き、抵抗を受けて思うようなスピードが出なくなる。

ヨットを起こして速くするために、クルーが「トラピーズ※1」に出る。それでも足りない場合はスキッパーも一緒に「ハイクアウト※2」に出る。「二人が全力でやっても(ヨットが)起ききらない場合もあります」(森さん)その時はミリ単位のセッティングを行うという。

※1 トラピーズ:クルーの胸元を釣り揚げておくワイヤー。舷外へ身体を乗り出すとき「トラピーズに出る」と言う。
※2 ハイクアウト:ヨットの外に身を乗り出し、体重で傾きを打ち消す方法。

インターハイを制したペアでも、最初からチームワークが良かったわけではない。「最初(1年生)の秋まで、一人乗りを続けていたんですけど、新人戦前に二人乗りに変わって、初めて七海(森さん)と組みました。自分も二人乗りヨットは、初めてのことがいっぱいで、分からないことがあって。七海もヨット始めたばかりだから『これ何、これ何、これ何』って」。二人とも分からないことが多すぎて、ぶつかることもあったと、長岡さんは振り返る。

「(長岡さんは)経験者っていうのもあったので。やっぱり上手いし。最初の自分じゃ全然釣り合わない実力だったので、最初はめちゃめちゃケンカが多くて。『もう部活辞めてやろうかな』って、何回も思ったんですけど、やっぱり叶子(長岡さん)に負けたくない思いもあって。(長岡さんと)同じくらい知識をつけて、反論できるようにしよう」森さんは、ヨットのことを猛勉強したのだ。

そんな負けたくないという気持ちが、実を結んだ。高校2年のインターハイで、5位入賞。森さんは「2年生で5位だったら、来年は1位を目指せるじゃん」と思ったという。「インターハイがやっぱり、関係が変われた出来事だと思っているんですよ。自分でも、まさか入賞できるとは思っていなかったので」

「七海がすごくて。自分のことをよく分かってくれたというか、理解してくれたというか。七海じゃないとたぶん、あんな成績を取れていないし。安心して自分がスピード(を出すこと)に集中できる、安心して周りを任せられる...... 七海じゃないと困る」(長岡さん)

ケンカが多かったペアは、代わりのきかないパートナーへ。「この人でなければ」。そんな揺るぎない信頼感が、二人のチームワークを強固にし、インターハイ優勝という栄誉をもたらした。

「遊びだったら誰でも良いと思うんですよ、やっぱり。でも、レースってなったら、信じられる相手じゃないと、自分は乗れないと思っているんで。お互い信じ合えているのは、やっぱり叶子かなって。叶子じゃないと、真剣にヨットは乗れないと思っています」(森さん)

高校卒業後は、それぞれ道を歩んでいくことを決めた二人だが、心に誓う夢は同じようだ。森さんは、高校ヨット部での3年間で培ってきた知識を活かせることからウィンドサーフィンに転向する。「最終的にオリンピックとかも目指せたら、と思っています。叶子も絶対オリンピックを目指していると思うので、いつか、その高みで会えたら良いなと」

長岡さんは、大学では420級よりもひとつ大きな470(よんななまる)級でオリンピックを目指すという。「もうペア組むことはないかもしれないけど、(オリンピックという舞台へ)一緒に行きたいですね。オリンピックに出られたら出たいし、無理でもそういうものに携わっていきたい。おばあちゃんになって、ここに帰ってきて、コーチたちが作ってくれたクラブを守っていきたいというか。自分が今度は新しい人に教えていってあげたいというか。そんな人になりたいですね」

オリンピックの舞台での再会できる日を夢みて。二つの船は漕ぎ出したばかりだ。

▼インタビュー映像
心から信頼している友。進む道は違っても、オリンピックという高みでまた会いたい。

▼ビューティフルジャパン 香川×セーリング
https://panasonic.jp/bj2020/kagawa/

ビューティフルジャパン公開日:2018年04月26日


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