ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.08.30

「人馬一心」。夢は、育てた馬と世界の舞台へ

群馬県渋川市伊香保町。温泉で有名なこの町を拠点に活動している馬場馬術の選手がいる。高橋正直(たかはし・まさなお)さんだ。2016年に続けてオリンピック連続出場を目指す馬場馬術選手と愛馬ファブリアーノのもとを訪ねた。

小学校5年生から本格的に馬術をはじめたという高橋さん。馬に興味を持ったのは、身近に馬がいたからだという。「実家のすぐ横が乗馬クラブ。毎日学校の通学のときに、馬を見るってことがほとんどでしたので、気が付いたときにはもう、馬が好きになっていた」

障害馬術を専門としていた高橋さんに契機が訪れたのは大学時代。とある大会で見た馬場馬術の演技に感動し、競技の転向を決めた。「(馬場馬術は)馬に乗ってフィギュアスケートをするようなイメージ」。その魅力に引き込まれ、競技に打ち込んだ高橋さんには、全日本学生馬術選手権大会で優勝するほどの力がついていた。

「馬っていうのは基本的に、まっすぐ走るものだと自分ではずっと思っていたので。それが斜めに動いたりとか、回転をしたりだとか。600kgからある馬たちを、力ではなく自由自在に動かせるところ。そこがこのスポーツの魅力かなと思います」

馬場馬術は、審査員が採点をする競技。フィギュアスケートに喩えられる理由のひとつだ。「個々の課目で0点から10点まで。(総合観察では)ライダーの騎乗姿勢っていうところを見ます」。馬自身の動きのクオリティに加えて、人馬のハーモニーも大切だという。「どれだけ馬がリラックスしているかなとか、より自然で、馬のナチュナルな状態の中で、演技をするっていうことが一番ですね」

馬のたてがみを編んでいるのにも、理由がある。「どうしても片側にたてがみが寄っていますから、そちら側の筋肉の動きが見えないので、そういうところも審査員にきれいに見えるようにということですね。馬場馬術は見た目がきれいでないと点には結びついてこないので。やはり身だしなみという意味においても、(たてがみを)きれいに編んであったほうがいいかなと思います」。まさに、魅せる競技だ。

大学卒業後、ヨーロッパに4年半ほど留学していた高橋さん。今も月に一度、1週間から10日ほど馬術の本場ドイツに行って、国際競技に参加したり、トレーニングを積んだりしている。「3年ほど前からお世話になっている」という、ドイツのシェーセルにあるジョニー・ヒルベラートさんの厩舎を紹介してくれた。「(インドアアリーナは)20m×60mの試合(会場)と同じ広さがあります。試合会場で使われる砂と同じものがあります」

「日本に帰ってきてからもなるべく同じような環境の中でやりたいっていう気持ちはありました」。ヨーロッパの整った施設や環境を知る高橋さんは今、自宅に厩舎を構えて、馬を育てている。「ドイツから帰ってきてから1頭から始まって、少しずつ頭数が増えてって感じです。今、17頭くらいですね」

競技をする上で高橋さんが大切にしているのは、馬と心を通わせる「人馬一心」。「馬に乗っているときだけではなくて、普段こういうときからですね、馬の性格であったりとか、仕草であったりとか、そういったことも含めて(理解してあげるのが)必要かなと思いますね」

「(馬に合図しなくても)自分の気持ちだけで、馬が自由自在に動いてくれたときっていうのは、本当に嬉しいですね。なんでもできる気がしますよね、そういうときっていうのは。もう無の状態で演技ができるって言うか、そういう感じですね」。日々世話をする中で、その馬を理解することが、競技につながっているのだ。

「どういう演技をするかよりも、最近は常に馬の気持ち、馬とのコミュニケーションを一番に考えています」。いいコミュニケーションの中での演技が、高橋さんのテーマだ。

リオ2016オリンピックの舞台を経験した高橋さん。東京2020オリンピックへの思い、その先の夢を聞いた。「(自分の中では)東京を見据えてのリオ2016オリンピックでしたので、東京が決まった時点で、リオは経験したいなと思っていました。もちろんオリンピックに行きたいという夢とか目標は、ずっと持っていたんですが、東京2020オリンピックが決まって、あらためて強くオリンピックに出ようと思いました」

馬場馬術は、幅広い年齢層の選手が活躍できる競技。70歳を超えた選手が日本代表としてオリンピックに出場したこともある。高橋さんは、将来の目標を、こんなふうに話してくれた。

「自分で生産した馬や、自分が一から育て上げた馬で、オリンピックや世界選手権に出て行けたらいいなと思っています」

いつの日か世界で一番美しい人馬のハーモニーを奏でる日を夢みて。今日も高橋さんは愛馬と心を通わせる。

▼インタビュー映像:
高橋選手が馬術の魅力と、その先に見据えた夢を語る。

ビューティフルジャパン公開日:2018年08月24日


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