ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.10.01

強い自分になるために。諦めないで強くなりたい

京都府城陽市にある、サン・アビリティーズ城陽。パワーリフティングのナショナルトレーニングセンターとして指定されている施設だ。東京2020パラリンピックまでまもなく2年前となる2018年7月、15歳のパワーリフティング選手、森崎可林(もりさき・かりん)さんの姿があった。※さきの字は立に可

0歳3か月のときにわずらった脊髄動静脈瘻の影響で、森崎さんの下半身にはまひが残っている。2017年の全日本パラ・パワーリフティング選手権大会、女子67キロ級で優勝した森崎さんだが、パワーリフティングと出会ってから、まだ日が浅い。「2017年の9月にパワーリフティングを始めて、11月くらいに一本にしようと思ったのかな」。

それまでは、パラ水泳の選手だった。森崎さんに競技転向をさせたパワーリフティングには、どんな魅力があるのだろう。森崎さんに聞いた。

「パワーリフティングの世界では、緊張・爆発・歓喜の3秒間の試合って言われてて。そこに込められた魅力っていうのがすごくある。(競技の魅力は)そこだと思います」。
試技前の顔つきから、バーベルを挙げるときの力の入った瞬間、そして成功後の笑顔。選手の表情もがらりと変わる。

「4年間頑張ってきて3秒で結果を出すって、なかなか辛いところがあるんですけど、そういう3秒間の中に、ドラマのある競技だと僕は思っています」。そう話すのは、森崎さんをサポートする日本パラ・パワーリフティング連盟の久保匡平(くぼ・きょうへい)コーチだ。

「ルールが厳しいので、それに準じた試技をしていくのは、非常に難しいですね」。森崎さんと練習をともにするパワーリフティング選手、中辻克仁(なかつじ・かつひと)さんは続けた。「例えば左と右が、左右互い違いに挙がったりしたらファールになってしまうし、(バーベルを下げた時)胸の上でパチンと止められなくて、ダブったり、ぶらーっとしてしまうと、これもファールになってしまう(中辻さん)」。挙げればいい、だけではないのだ。

近くにいる二人に、森崎さんはどう映っているのだろう。「人懐っこいし、人見知りせえへんし、明るいっていうのが第一印象ですよね(久保さん)」。「やっぱり粘り強いんじゃないかなと。何べんも挑戦する、資質を持っている(中辻さん)」

森崎さんにとって、久保さんの存在とは。「いっつもお肉の話しとかばっかしてるけど(笑)。一番欲しいコメントっていうか、今のセットで何が駄目だったか、何が良かったかを的確に見てくれて、自分にとって一番のコーチだと思います」

練習をともにする中辻選手は、森崎さんが一番憧れている選手だそう。「普段の練習でもアドバイスとか、困ってることがあったらすぐ相談に乗ってくれて。それをしながら自分のことも完璧にこなしてはるから、ああいう選手になりたいなって思います」。

「試合の時とか、舞台裏から『押せ!』とか(中辻さんの声が)聞こえて、「おお!」と思って挙げています。大体試合って歓声とかくれてたりするんですけど、うん、それは聞こえるんですよ。しんど!って思った時に『押せ!』って言われたらグッと力入るんで、すごいありがたいです」。

「この環境で、このメンバーで、あったかい人たちがいる中で、自分にとって一番練習しやすい空間。ここじゃなきゃ嫌ですね」。信頼できるコーチと頼りになる先輩の存在が、競技歴の浅い森崎さんにとって、大きな力になっている。

続けてきたパラ水泳から、競技歴の浅いパワーリフティングへ。パラ水泳を辞めることは「諦め」なのかどうか。競技転向を決めるとき、森崎さんは、とても悩んだ。「基本何でも諦めたくないので、何もかも。その決断が、諦めにつながることなら、それは嫌だから」。自分にとって、辞めることがマイナスなのか、プラスなのか、そこには「大きな差がある」と森崎さんは言う。

「諦めないで強くなりたい。水泳を辞めて、スポーツを諦めたわけじゃなくて、新しい自分にあった別の道で、頑張ってるよっていう姿を見てもらいたい」。強い自分になるために選んだ、パワーリフティングの道。結果も出始めている。

パワーリフティングを始めてから、車いすに乗ってる人との出会いが多くなり、人としての視野が広がったという森崎さん。競技転向により、得たものは他にもある。「(パワーリフティングを)始めたことで掴んだのは仲間だったり、自分の集中力とか、そういう精神的強さとかだったり。自分が成長するっていうことは確かだと思う」

成長への確信を得た森崎さん。夢は、パラリンピック出場だけには留まらない。「出場するだけじゃそこまで意味ないかもしれないんで、メダルを取ってくることが目標です」。噛みしめるように語った。

▼インタビュー映像:
夢はパラリンピック。ただ出場するだけじゃない、メダルを取るのが目標だ。

ビューティフルジャパン公開日:2018年09月7日


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