ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.11.09

山口で躍動する2つのU-15女子サッカー

工場夜景で有名な周南コンビナートを眼下に見下ろす場所にキャンパスを持つ、徳山大学。グラウンドでは、2018年で創部11年目を迎えた徳山大学女子サッカー部、その下部組織であるU-15のメンバーがボールを追いかけている。大学主導で若手選手の育成を手掛けるのは、全国を見渡しても珍しい。さらに、「女子サッカー×2つのU-15」ともなれば、なおのこと。なぜ、U-15を発足させたのか。そこには、サッカー好きの少女たちを温かく招き入れる、徳山大学ならではの懐の深さがあった。

瀬戸内海を見下ろす高台から響く笑い声とサッカーボールを蹴る音

子どもたちは、大学生と楽しみながらサッカーを学ぶ

2018年8月はじめ、暑さが厳しい夕暮れ時、綺麗に整えられた人工芝のグラウンドでは、サッカースクールが開催されていた。幼稚園児から大学生まで、50人近くが集結。笑い声とともにボールを蹴る音が響き渡る。大学生は、徳山大学女子サッカー部のメンバーたち。全国大会でも上位の成績を残す強豪チームとして知られている。大学生たちは誰に指示されるでもなく、幼稚園児から小学生までのシュートやドリブル練習を見守る。

「運動できる服装、運動しやすい靴、飲み物、タオルさえ持参してくれればOKです。スクールは無料です」と語るのは、徳山大学女子サッカー部・コーチングスタッフの大城光代さん。そこに上下関係はなく、あるのはサッカーを心から楽しむ姿だけ。このスクールでは、サッカーをしたい女子なら誰でも受け入れている。背景にあるのは、徳山大学女子サッカー部のキーワード「リスペクト」がある。

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2つのU-15を支えるのは、徳山大学女子サッカー部出身の二人の監督

徳山大学女子サッカー部コーチングスタッフ兼Vinculumの監督・大城光代さん

そんな徳山大学女子サッカー部に、3年前から15歳以下の下部組織として「Vinculum(ウィンクル)」が加わった。ラテン語で"絆"を意味する。大城さんは、Vinculumの監督も兼務している。15歳以下に設定したのは、「偶然、最年長が15歳以下だったからです」と大城さん。18歳のメンバーが所属していた時はU-18にしたこともあるそうだ。

チーム名の「Vinculum」は、ラテン語で"絆"を意味する

現在、Vinculumには、周南市内やその近隣から7名が所属している。小学6年生から中学3年生まで、「サッカーをしたい」と集まってきた。11人に満たないため、試合に出る際は近隣のクラブから中学生の女子選手を誘っているという。

高川学園中学校女子サッカー部(U-15)の監督・宮村紗季さん

こうしたフレキシブルな組織づくりの考え方は、もうひとつのU-15にも見てとれる。それが、高川学園中学校のU-15チームだ。高川学園中学校の女子サッカー部は、徳山大学女子サッカー部の下部組織として登録。現在、29名が所属している。こちらの監督は、高川学園中学校で教員として働く宮村紗季さん。実は、大城さんも高川学園の教員で、二人とも徳山大学女子サッカー部の出身。宮村さんにとって大城さんは先輩にあたる。

「大学生との練習は刺激になる」と話す、高川学園中学女子サッカー部(U-15)のメンバー

「高川学園は中高一貫の私学で、男子は中学からサッカー指導に力を入れており、山口県有数の強豪校です。ちょうど2年前に中学でも女子サッカー部を創設することとなり、初年度は5名からスタート。いまでは、部員29名まで増えました。徳山大学のVinculumが『高川学園に通っておらず、かつ学校にサッカー部がない子』を対象にしているのに対し、高川学園中学は部活と徳山大学U-15の両方を兼ねています。それぞれが切磋琢磨できればということで、2つとも徳山大学女子サッカー部の下部組織として登録することになりました」(宮村さん)

「みんな仲がいい。サッカーが上手くなるのが楽しい」とはにかむ、Vinculumのメンバー

Vinculumと高川学園中学は、毎週のように合同練習を行うが、あくまでもライバル関係にある。実際、ここ2年、全日本U-15女子サッカー選手権の山口県大会では決勝を争っている。Vinculumのメンバーは、「仲がいいからこそ、試合では手を抜かない」と話す。2つのU-15の関係性にも、徳山大学女子サッカー部の「リスペクト」が、しっかりと受け継がれていることがうかがえる。

刺激し合いながら強くなることで仲間を増やしたい

大城さんは、徳山大学女子サッカー部の田中龍哉監督から、「サッカーをやりたい子どもたちに応えるためにU-15を立ち上げたいから監督をしてほしい」という話をもらったとき、ふたつ返事で快諾したという。「私は小学生からサッカーをしていましたが、中学に女子サッカー部がなくて、自力で立ち上げた経験があります。そのため、U-15世代から徳山大学の恵まれた環境でプレーできたらどんなにいいだろうと。また、田中監督のチームマネジメントを選手として間近で見てきたので、自分がその指導方法を少しずつ吸収して、中学生に還元していけたらと思ったんです」(大城さん)

徳山大学のグラウンドで一緒に練習する、2つのU-15

宮村さんは、高川学園の生徒だけではなく、Vinculumや大学生も指導していると話す。「練習は分け隔てなく、コーチングスタッフとして携わっています。実は、高川学園中学の女子サッカー部の立ち上げに際して、田中監督と大城さんが学園に協力して下地をつくってくださったんです。その意味でも学校間の距離がとても近いですし、高川学園にも徳山大学らしさが浸透していると思います」(宮村さん)

二人の監督は協力しながら、2つのU-15を支えている
ミニゲームでは大学生とU-15の選手が一緒にプレーする

年齢の区切りはあってないようなもの。なかには、自ら希望して大学生のミニゲーム練習に参加する小学生も。強制はせず、自主性を重んじているところも、"徳山大学らしさ"なのだ。最後に、これからの展望について聞いた。「Vinculumの存在をもっと発信していきたいです。山口県内には、まだまだサッカーを練習したい子がいるはずなので、たくさんの子どもたちに提供できたら良いなと思っています。いまはまだ7人で活動していますが、Vinculumだけで試合ができるくらい集まってもらえたら。あとは、皆でワイワイ楽しくサッカーしたいです」(大城さん)

大学生からU-15まで全員で、「今日の調子は絶好調!」

「高川学園中学の女子サッカー部の皆は、徳山大学に憧れているので、一緒に練習できることを楽しみにしています。これからも、Vinculumと刺激を与えあいながら、成長していってもらいたいです。そして、県大会で勝って、結果を残しながら仲間を増やしていけたらと思います」(宮村さん)

緩やかでありながら確固とした信頼でつながるU-15の絆。伸びやかで大らかな徳山大学の環境と人が、サッカーを介して子どもたちの成長を温かく見守り続けている。


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