ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.11.16

目標は「仲間を増やすこと」――地域に輪を広げる徳山大学女子サッカー部

2018年、創部11年目を迎えた徳山大学女子サッカー部。中国地方の強豪校としても知られ、最近は九州や関西からも学生が集まるなど、全国的にも知名度が高まっている。「リスペクト」と「ハードワーク」をモットーにするチームは、さらに山口県内における女子サッカーの裾野を広げるべく、アンダー世代の育成にも取り組んでいるという。近隣の高校や中学との連携も推進、地域での存在感は増している。部員2人からはじまった女子サッカー部を、全国大会の常連に押し上げた田中龍哉監督に、未来に向けた歩みについて聞いた。

地域の女子小・中学生にサッカーの楽しさを伝えたい

徳山大学女子サッカー部の田中龍哉監督

徳山大学女子サッカー部が立ち上がった初年度は、部員が2名しか集まりませんでした。1年目はチームとしての体を成していませんでしたが、翌年には13名まで増加。そうした背景から、強豪校になる前に全体の底上げをしたいと考え、「まずはサッカーを楽しもう」という雰囲気づくりをポリシーとしました。

大学サッカーと地域とのつながりという意味でも、その考えは今も変わりません。2015年からは、下部組織「Vinculum(ウィンクル)」をつくって、徳山大学近隣に住む15歳以下の中学生が練習に参加できる土台を整えましたが、サッカーが上手な子を引き抜いて強いチームにつくりあげるというよりは、仲間を増やしたいという気持ちが大きいんです。下部組織と聞くと、エリートを育成するイメージを持たれるかもしれませんが、仲間づくりというニュアンスの方がしっくりきますね。

下部組織をつくった目的は、仲間を増やすため

「サッカーって楽しいんだ」と思ってもらえる子どもを一人でも増やしたいと考えた時に、特に女子は学校に部活がなかったり、地域のクラブなどサッカーができる環境に乏しかったりします。そのため、徳山大学が受け皿になれたらと下部組織を発足しました。現状は、積極的なスカウティングはしておらず、興味を持ってくれた子なら誰でもウェルカムで迎えています。

下部組織の経験を通して人としての強さを身につけてほしい

「U-15加入の経緯はさまざま」(田中監督)

いま「Vinculum」のメンバーは7名ですが、加入の経緯はさまざまです。たとえば、女子サッカー部の試合をたまたま観に来ていた小学校6年生の子が、下部組織について紹介しているチラシを見ていたので声を掛けたところ、練習したいということで加入したケースも。

また、徳山大学の職員が散歩しているときに、サッカーをしている女子中学生を見つけて、一緒にいた親御さんに話しかけてみると、サッカーができるところを探しているとのことで、加入した子もいます。他にも、知り合いの中学校教諭から紹介されたのがきっかけで、加入した生徒もいます。

私は帝京高校、徳山大学でゴールキーパーとしてサッカーをしてきましたが、この経験を通して部活で、「人が強くなる」ことを感じてきました。特に、帝京高校時代の古沼貞雄監督は、選手のみならず、なでしこジャパンの佐々木則夫元監督をはじめとする指導者も数多く育てています。当時、鍛えられた主体性や自律性を、選手たちにも展開していきたいと考え指導しています。とにかく頭ごなしに「やれ」とは言いません。年齢問わず、メンバーの意志を尊重することに重きを置いています。チームが和やかな空気になるように、ときには冗談をいうこともありますよ。

田中監督は、和やかな空気づくりも重視する

また、徳山大学の女子サッカー部は、自分の意見を主体的に発信することが当たり前になっているので、情操教育にもプラスの効果があると思います。そのため、サッカーが好きな子はもとより、学校に居場所がないと感じている子も、仲間として迎え入れています。

U-12の創設も視野に。山口県に女子サッカー文化を広げたい

Vinculum監督の大城さん(左)、高川学園中学校の女子サッカー部監督の宮村さん(右)

防府市にある高川学園中学校の女子サッカー部も下部組織として登録しています。部を立ち上げる際には、人材もノウハウもなかったことから相談を受けていました。私としても、山口県の女子サッカーの裾野を広げるためにという思いが強かったので、チームビルディングの時期から携わりました。ちなみに、高川学園のメンバーが足りなくて大会に出られなかったときには、Vinculumのユニフォームを着て活動していたことも。それくらい距離が近いです。

練習については、子どもたちの金銭的な負担は一切ありません。徳山大学に関わるみんなも、「せっかくグラウンドがあるんだし頑張ってね」と温かく見守ってくれています。競争よりも仲間をつくろうという意識は、部を超えて大学全体に浸透していると思います。

大学のグラウンドでは幼稚園や小学生を対象にしたスクールも開催される

2017年は、高川学園中学校女子サッカー部から、JFA ナショナルトレセン女子U-14に選出されました。代表選手の育成を第一に目指しているわけではありませんが、全体のモチベーションアップや底上げにはつながりました。また、高川学園高校女子サッカー部も発足しました。高校は、Vinculumの監督でもある大城が指導しています。

「山口県に女子サッカー文化を広げたい」(田中監督)

これからは、高川学園だけではなく、いろいろなところにOGを送り出していきたいです。県内でも一緒に頑張ろうと切磋琢磨しているチームもあります。目標はあくまでも、山口県に女子サッカー文化を広げること。いまスクール活動などで小学生も集まってきているので、近い将来U-12の活動を活性化したいと考えています。幼稚園児・小学生から大学生まで年齢を超えて、サッカーを楽しいと思えるメンバーが集まることが、女子サッカーを地域に根づかせることにつながると信じています。


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