ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.11.21

オリンピック記録を上回る記録が誕生!? 可能性に満ちたパラ陸上の世界

「パラ陸上」ってどんなスポーツ?

簡単に言うと・・・

① 「より速く!より高く!より遠くに!」 様々な種目で記録を競い合う

② 人間の限界を超える!?「用具の進化」がスゴイ

③ パラならではの様々な工夫で、見どころ満載

一般の陸上競技と同じく、トラック競技とフィールド競技など、様々な種目があるパラ陸上。ルールも障がいによってできないことなどは一部ルールを変更しているが、一般の陸上競技とほとんど同じで、100分の1秒、1cmの差で記録を競い合う、誰もがシンプルに観戦を楽しめる競技だ。

特徴はというと、できるだけ公平な競技が行われるように障がいの種類や程度ごとに「クラス分け」するシステムだ。

というのも、例えば、義足を使う種目といっても、切断部分が膝より上なのか下なのかで、パフォーマンスが変わってくるという現状がある。

そこでクラス分けを行うための必要な知識・技術を学び、「クラシファイヤー」と呼ばれる資格を取得した人たちが、選手の競技している姿や様々な面を見て、クラスを決定している。しっかりとクラスを分けることによって、同等の競争能力の選手が集まり、公平に、安全に競技が行われるのだ。

一般の陸上と何が違うの?

①「進化した用具」のハイパフォーマンスを見逃すな!

(写真は、リオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

限界を超えるハイパーな「義足」

競技用義足の素材には主にカーボンファイバーが使用されており、地面を蹴ったときに抜群の反発力が生まれる。それが前への推進力となり、走り幅跳びでは健常者より飛ぶ選手も!進化した義足を使いこなす地道な努力を続けてきた選手たちに、ぜひ注目してほしい。

(写真は、ロンドン2012パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

時速50キロ以上!? 競技用車いす「レーサー」

1つの小さな前輪と2つの大きな後輪からなる、「レーサー」と呼ばれる競技用車いす。マラソン種目での下り坂では、なんと時速50km出ることもあるのだとか! そして、障がいの程度に合わせた着座姿勢も特徴的。障がいの軽い選手は、空気抵抗を減らしてスピードが出るように正座で乗り、腹筋や背筋の機能がなく自力で上半身を起こすことが難しい比較的障がいの重い選手は、重心が後ろの着座姿勢で乗っている。

②競技ごとに見られる、様々な工夫もチェック!

(写真は、リオ2016パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

各選手、オリジナルの「投てき台」を使って投げる!

下肢に障がいのある投てき選手はルールの範囲内で自分用にカスタムした、オリジナルの投てき台を使用して競技に臨む。脚やお尻が浮かないようにベルトで固定するので、安心して力を入れることができるのだ。

(写真は、ロンドン2012パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

観られるのはパラ陸上だけ!「こん棒投げ」

握力がなくてやり投げができない選手のために、「こん棒投げ」という競技が存在する。長さは40cmで重さは397g。ミニバットのような小振りなこん棒を使う。投げ方は自由なので、とんでもない投法の選手に出会えるかも!?

③視覚障がい選手を支える「サポーター」の存在

(写真は、ロンドン2012パラリンピック)ⓒGetty Images Sport

選手の目の代わりとなる「ガイドランナー」と「コーラー」

素朴な疑問として、視覚に障がいのある選手は、どのようにコースを正確に走ったり、投てきしているのだろうか? 危なくないのだろうか? そこで選手たちが安心して競技に参加できるようにサポートするのが、「ガイドランナー」と「コーラー」という存在だ。

ガイドランナーはトラック競技やマラソンなど選手と共に参加し、一緒に走ってコースを誘導する。跳躍種目や投てき種目で、踏み切りの場所や投げる方向を伝えるのがコーラーである。

こうしたサポーターは、視覚障がいクラスでもっとも重いクラスT/F11の選手と、次に重いクラスT/F12の選手に付くことができる。選手の目の代わりとなり競技人生を支える、パラ陸上に欠かせない存在なのだ。

ココに注目!観戦が面白くなるポイントは?

(写真は、ロンドン2012パラリンピック)©︎Getty Images Sports

オリンピック選手を超えるかも!?「世界記録」にも注目!

パラ陸上では、一般の陸上より記録が上回ることがあるのも非常に興味深いポイント。

例えば走幅跳で、右脚膝下を切断したドイツのマルクス・レーム選手が、2014年のドイツ選手権でオリンピック選手らに混ざってチャンピオンになるという快挙を成し遂げている。世界記録がここ20年で約2m50cmも伸びているというから驚きだ。

また、2016年リオパラリンピックの男子1500m(T13・伴走者なしで走る弱視のクラス)の上位4名の選手の記録全てが、リオデジャネイロオリンピック男子1500mの金メダルを獲得したタイムを上回った、という事実も見逃せない。

回を追うごとに、オリ・パラでのアスリート間の実力差が近づいてきていることでも注目のパラ陸上。2020年の東京パラリンピックでは、様々な種目でオリンピック記録超えに立ち会えるかもしれない。

パラ陸上を観戦しに行こう!

国内でも東京のみならず各地で大会が開催されているのでぜひ会場に足を運び、熱い声援をおくってほしい。

Text by Jun Nakazawa(Parasapo Lab)
Photo by Getty Images Sport

参考資料:『かんたん!陸上競技ガイド』(日本障がい者スポーツ協会)

〈この記事は、日本財団パラリンピックサポートセンター公式WEBサイト「ニュース&トピックス」に掲載されたものです。(2019/09/12公開)〉


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