ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
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ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.08.20

鳥海連志・車いすバスケットボール次世代エース 東京2020パラリンピックを目指す

現在、車いすバスケットボール界の若手として注目されているひとりが、大学生プレーヤー鳥海連志(ちょうかい・れんし)だ。2016年には高校生でリオパラリンピックを経験し、2017年のU23世界選手権ではベスト5に選ばれた。そんな鳥海選手だが、コートを離れれば19歳の若者らしい一面も。東京パラリンピックで活躍が期待される彼に質問をぶつけてみた!

鳥海選手は、昨年長崎から上京。現在の拠点は神奈川県だ。クラブチーム、日本代表、U23日本代表の掛け持ちはなかなか大変だ。暮らしぶりを聞いてみよう。

―― 長崎から関東に出てきて1年、こちらでの生活はどうですか?

鳥海連志(以下、鳥海) たまに休みがあると友達と出かけるくらいなんで、まだなかなか都会には慣れないですよ(笑)。それに昨年はU23日本代表と日本代表の掛け持ちで、試合や遠征、合宿などでバスケ漬けでしたからね。

―― 食事は自炊しているんですか?

鳥海 まあ、そう......かな。自分で作れるのは、肉野菜炒めとか簡単な料理です。長崎の実家が魚を送ってくれるので、それを食べたり。やっぱり魚は長崎の方が美味いっす(笑)。練習の後はチームメイトと食べに行ったりもするので、毎日自炊じゃないですけどね。

―― 昨年から所属したパラ神奈川SCでは、U23日本代表と日本代表で一緒にやってきた古澤拓也選手と一緒にプレーしていますね。

鳥海 タク(古澤)とは、2013年のアジアユースパラ(クアラルンプール)のチームから一緒にやっています。パラ神奈川は日本代表と同じで、切り替えの速さが命のチームです。高さがないから日本代表と近いバスケをやっているんです。2人が日本代表のプレーを持ち込んでも、経験のある先輩がうまくサポートしてくれるし、そこがかみ合っているからチームとしての結果もついてきているんじゃないかと思いますね。

―― 2年目もバスケ漬けは変わらず、ですね。

鳥海 そうです。普段はパラ神奈川の練習が中心ですが、日本代表のスケジュールも増えてきているので忙しいです。今は日本代表の有馬正人フィジカルコーチのところにも通ってトレーニングするようになったし、メンタルトレーニングにも取り組むようになりましたからさらに忙しい......(笑)。

トレーニングを行えば"スポンジ"のように高い吸収力を見せる鳥海選手。フィジカルとメンタルの両面からアプローチするトレーニングでどのような変化があったのだろうか。

次世代のエース候補・鳥海のプレーに注目だ!

―― フィジカルトレーニングで変わってきたという実感は?

鳥海 うまくは言えないですけど、踏ん張るところと、力を抜くところのバランスが良くなってきていると思います。試合の動画をチェックすると、前なら転んでいたところで転ばなくなったし、逆に相手との駆け引きの中で転ぶべきところで安全に転んでファウルをもらえるようになってきていますね。全力でプッシュしてからのブレーキングとか、ターンのスムーズさとかも少しずつ変わってきているなという感覚があります。

―― メンタル面はどうですか?

鳥海 メンタルトレーニングはまだ3ヵ月くらいなんですけど、自分の感情、集中力や注意力の配分が少しずつコントロールできてきているように感じます。相手のラフプレーにキレたり、レフリーの笛にイラついたりするのは勝ちにつながることじゃないなというのはよくわかりました(笑)。メンタルは急に成長できるものではないですから、まだまだ日々のトレーニングを積み重ねないとダメですね。

―― 17歳で出場したリオパラリンピック後には、今後の課題として決定力を挙げていましたが。

鳥海 そうですね。でもリオの後に課題に考えていた決定力と、今の僕が課題にしている決定力はちょっと違うんです。リオの後は極端にいうと100本打ったら100本決める決定力を目指そうと思ってました。でも、今、チームの勝利のために僕に求められている決定力は、速攻のランニングシュートやフリースローを確実に決める決定力なんです。だからそこにフォーカスして練習をしています。

―― 得点力も着実にアップしてきていますね。

鳥海 最終的な目標は2020年の東京パラリンピックで金メダルを獲ること。そのためには、決定力以外にも身につけないといけないことがたくさんあります。バスケIQも高めていきたいと思って、日本代表ではヒロさん(香西宏昭)と積極的にコミュニケーションをとったり、及川ヘッドコーチに教わったりしています。でも、まだ成長スピードが足りないと感じています。

現在の車いすバスケットボール日本代表において、鳥海選手の存在感は大きい。すでに不可欠な存在になっている彼だが、2年後も間違いなくキーパーソンになるだろう。

―― 2020年東京では21歳。金メダルを獲るためにどんな選手に成長していたいと思いますか?

鳥海 まずは、チームを勝利に導くために、自分の役割をしっかりやり遂げられる選手です。精神的には"勝者のメンタル"のようなものを確立した選手。日本代表で中心選手として活躍されていた藤井新悟さんのように、周囲の選手をコントロールして、精神的に引っ張れるような存在になっていたいですね。

―― 今年の夏にはドイツで世界選手権があります。2020年の前哨戦になりますね。

鳥海 まだ選考はこれからなんですが、絶対に出場したいです。3月下旬からのオランダ合宿からベルギーのイースタートーナメントに参加させてもらって、大きな手応えを感じました。トーナメントの結果は3位でしたが、日本代表がやるべきバスケはこれなんだ、間違いないと思いました。どのチームにも、その活躍でチームを波に乗せられる選手がいます。日本代表だったら、レオさん(藤本怜央)、ヒロさん、タク......。今の日本代表での僕の役割は、その選手たちにチャンスメイクすること、そして自分にチャンスが回ってきたらそれを確実に決めることだと思っています。2020年に向けて、結果が必要な大会だと思うので、その役割を果たしてチームの勝利に貢献したいと思います。

text by Keishi Nako
photo by X-1

〈この記事は、日本財団パラリンピックサポートセンター公式WEBサイト「ニュース&トピックス」に掲載されたものです。(2018/6/6公開)〉


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