ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
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ここでの出会いと発見を、
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東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2017.12.28

張本、平野...勢い衰えぬ日本卓球界 2018年は東京五輪への試金石に

14歳ながら堂々たる世界トッププレーヤーの仲間入りを果たした張本智和【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

世間は空前の「卓球ブーム」を迎えている。

1月の全日本選手権での平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)の史上最年少優勝、水谷隼(木下グループ)の史上最多9度目の優勝で幕を開けた2017年の日本卓球界。リオ五輪で3つのメダル獲得に沸いた2016年の勢いは今年も衰えず、4月に開催されたアジア選手権では平野美宇が中国トップ層を3連破し、日本女子として21年ぶりの優勝を果たした。

勢いは加速し、5月末から6月上旬にかけての世界選手権でも日本勢が躍動する。吉村真晴(名古屋ダイハツ)、石川佳純(全農)の混合ダブルスでの日本勢48年ぶりとなる優勝のほか、計5つのメダルを獲得。さらに張本智和(JOCエリートアカデミー)が男子シングルスで史上最年少でのベスト8に入った。

張本、平野だけではない10代の活躍

早田ひな(右)と伊藤美誠もコンスタントに高い成績を残し存在感を高めている【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

その中でひときわ光るのが、ティーンエイジャーの活躍だ。前述した張本は8月に開催されたワールドツアー・チェコオープンで史上最年少優勝を果たし、世界ランキングは最高で13位まで上昇。ITTF(国際卓球連盟)が主催する「ITTFスターアワード」では昨年の平野に続き「ブレークスルースター賞」を受賞した。
12月23、24日に開催された2018年世界選手権ハルムスタッド大会の日本代表選考会でも優勝を果たし、自力で初の世界選手権団体戦の代表をつかんだ。

14歳ながら今や堂々たる世界トッププレーヤーの1人。誰に勝っても不思議ではない実力をつけており、その成長速度には驚かされるばかりだ。

女子では世界選手権シングルスで48年ぶり表彰台となる銅メダルに輝いた平野の活躍が光ったが、同学年の伊藤美誠(スターツSC)、早田ひな(日本生命)も女子ダブルス3位と存在感を見せた。

伊藤は、ワールドツアーでもコンスタントに成績を残し、9月から12月にかけて世界ランクトップ10内をキープ。世界選手権代表選考会でも優勝し、4大会連続での代表を射止めた。

同学年の平野、伊藤の背中を追ってきた早田にとっても、初の世界選手権でメダルを獲得するなど、ブレークの1年となった。特にダブルスではワールドツアー3大会で優勝したほか、出場したほとんどの大会で上位に絡む活躍。ペアリングに関しても、伊藤、平野と異なるペアリングで優勝を果たすなど、相方を選ばない「ダブルス巧者」ぶりを発揮した。ダブルスが組み込まれる五輪の団体戦、そして東京五輪からは混合ダブルスが競技に加わるが、早田のダブルスでの強さは他の選手にはない強みと言えるだろう。

国内の争いはかつてないハイレベル

石川佳純(左)と水谷隼の両エースも健在だ【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

10代の躍進が光る中、水谷と石川、日本の男女エースもまだそのポジションを譲るわけにはいかない。水谷は、ワールドツアー、ヨーロッパチャンピオンズリーグ、そして今年からスタートしたT2アジアパシフィックリーグと、海外を転戦。実戦の中で進化を模索してきた。

世界選手権で自身2度目の女子シングルスベスト8入りを果たした石川は、より速く攻撃的なスタイルを志向してきた。同大会の準々決勝で丁寧(中国)に敗れた後もプレーに関しては手応えを口にしたが、11月に行われたワールドツアー・ドイツオープン、スウェーデンオープンでは中国選手から計3勝を挙げるなど、その成果は着実に現れている。

水谷、石川の両エースと成長著しい10代の選手たち、その他にも男子では丹羽孝希(スヴェンソン)、松平健太(木下グループ)、女子では佐藤瞳(ミキハウス)、加藤美優(日本ペイントホールディングス)ら実力者が揃う来年1月の全日本選手権は、過去最高レベルと言っても過言ではないハイレベルな戦いが期待できる。年々激しさを増す国内競争は、ここ数年の日本卓球界の躍進を支えている要因のひとつだろう。

18年最大の目標は世界卓球・団体戦

最大の強敵として立ちふさがる中国勢も、林高遠(写真)ら若手の成長が著しい【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

来る2018年、最も大きな試合となるのは4月末に開幕する世界選手権団体戦ハルムスタッド大会。前回の2016年の世界選手権団体戦では日本は男女アベックで銀メダルを獲得。しかし、決勝ではともに中国にストレートで敗れている。2018年大会でも、優勝に向けて最大の強敵となるのは中国に間違いない。決してたやすい道のりではないが日本としては中国との対戦までたどり着き、なんとか風穴を開けたいところだ。

その中国代表にとって、2017年は何とも騒がしい1年だった。世界選手権では他国の選手と組む国際ペアで出場した混合ダブルスを除き、5種目中4種目を制覇したが、アジア選手権では平野美宇に屈辱の3連敗、男子ワールドカップでも過去3年間独占してきた金・銀メダルをドイツ勢に空け渡すなど、他国選手に敗れる試合も目立った。また、世界選手権中の孔令輝監督の強制送還事件、中国オープンでの一部選手のボイコット騒動など、コート外でも注目を集めてしまった。

そんな中でも、男子の林高遠、女子の孫穎莎、王曼ユなど若手も頭角を現してきており、たとえ敗れてもさらに力をつけて帰ってくるのが中国の強さ。日本としても、そのレベルアップの速度に食らいついていくしかない。

東京五輪への試金石となる2つの大会

14〜18歳の世代が頂点を争うユース五輪。男子代表は張本だ【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

また、世界選手権の他、2018年には2つの「五輪」が控える。まずは4年に一度開催されるアジアの五輪・アジア競技大会。世界選手権とは違い、国際卓球連盟の定める「帰化選手規定(21歳以上で帰化した選手は世界選手権へ出場できず、21歳未満で帰化した選手の場合も数年間は出場できない)」が適用されない大会のため、各国とも五輪に近いメンバー編成が予想される。2年後の東京五輪を占う上で、この大会がひとつの試金石となるだろう。

もうひとつはユース世代(14〜18歳)の五輪、ユースオリンピック。卓球競技はシングルスと男女それぞれ1名ずつで戦う混合団体で争われるが、日本は第1回大会で丹羽孝希がシングルス・男女混合団体(パートナーは谷岡あゆか・現日本体育大)で金メダル、第2回大会でも村松雄斗(東京アート)がシングルス銀メダル、加藤美優との男女混合団体で銅メダルと2大会続けてメダルを獲得している。

第3回の今大会、日本からは張本智和と平野美宇というシニアでも世界トップランカーの2人が出場する。しかし、中国も次代のエース候補である王楚欽、孫穎莎が出場し、第2回大会に続く3種目制覇を狙っており、金メダルへの道は容易ではない。ともに東京五輪出場、そしてメダル獲得を目指す張本と平野としては、まずは同世代と争うスポーツの祭典で金メダルを持ち帰りたいところである。

東京五輪まで3年を切り、国内においても国外においても、ますます競争は熾烈になっていく。激しさを増す競争の中で、日本卓球界にとって飛躍の年となった2017年を越えるインパクトを世界に与えてほしい。


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