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東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2017.10.30

森保監督「メダルを獲得できるように」 東京五輪サッカー日本代表 監督就任会見

都内で東京五輪代表監督の就任会見が行われた。写真は左から西野技術委員長、森保監督、田嶋会長【スポーツナビ】

 日本サッカー協会は30日、都内で2020年の東京五輪を目指すサッカー男子日本代表チームの監督に就任した森保一の就任記者会見を行った。

 森保監督は「自国開催である東京五輪で監督をするということは、結果を求められると思いますし、重責です」「支援、応援していただける皆さまに喜んでいただける結果を出せるように、全身全霊をもって五輪に向かっていきたい」と会見の冒頭で所信表明した。

 また、就任の決め手として「選手たちを、さらに上の舞台に引き上げられるように関わっていきたい」「2022年のカタールでのワールドカップ(W杯)に、多くの選手に行ってもらえるような育成をしたい」と選手育成への意欲を語り、東京五輪での目標を問われると「メダルを獲得できるように頑張っていきたい」と答えた。

結果を求めながら、成長の助けになる仕事を

「結果を求めながら、成長の助けになる仕事をしたい」と抱負を語った森保監督【スポーツナビ】

登壇者:
森保一(東京五輪サッカー男子日本代表監督)
田嶋幸三(日本サッカー協会 会長)
西野朗(日本サッカー協会 技術委員長)

田嶋 皆さん、こんにちは。台風一過の素晴らしい晴天の中で、この会見ができることを本当にうれしく思っています。そして多くの方々に集まっていただいたことを感謝申し上げます。森保くんを初めて見たのは、30数年前の山梨国体でした。国見高校の小嶺(忠敏)監督率いる長崎県選抜に、1人だけ(国見高校ではない)別の高校から入っているということで、私にはそれが非常に新鮮に映りました。そしてマツダ(サッカークラブ)でのプレー、日本代表でのプレー、トレセンコーチとしてサッカー協会で共に一緒に働いたこと、そしてJリーグのクラブに行き、そしてサンフレッチェ広島での素晴らしい活躍がありました。

 西野技術委員長から、森保氏を五輪の監督にという話を伺った時に、ある意味、非常に新鮮で、うれしい気持ちになりました。2020年の(東京)五輪というのは、非常に重要で注目され、プレッシャーのかかる仕事だと思います。彼は非常に真面目で、さまざまな苦労をしたことで、人の苦労も知ることができる人物です。そして、しっかりと最後までやり抜く力を持っており、まさに2020年の五輪監督としてふさわしい人物だと思っています。私たち日本サッカー協会は、彼を全面的にサポートし、五輪での最大の成績を残せるよう、バックアップしていきたいと思います。よろしくお願いします。


西野 (10月)12日の日に監督不在の中で会見をし、就任のあいさつをさせていただきました。あれから数日が経ちますが、先日、五輪まで1000日という報道がありました。そういった報道が少し気になってか、森保監督はヨーロッパから戻ってきてくれました。そして今日、正式にこうやって(就任)会見をさせていただいて、非常にうれしく思っております。

 五輪が日本で開催されるということで、非常にうれしく思っておりますし、ワクワクします。そういう中で、サッカーだけではなくて、他競技の若い世代、本当にたくさんのアスリートたちが世界で成果をあげて、さらに1000日後に東京でまた大きな成果をあげるのではないかと期待をされています。われわれ男子サッカーも、五輪の成功の一助となるように、たくさんのアスリートとともに輝きたいと思っています。その中で、森保監督は若手の育成の経験もたくさんありますし、そういった経験を生かして国内リーグでも十分に実績をあげた指導者に託して、多くのアスリートとともに輝く選手たちを育てて、チームも強化してほしいと思っています。

 五輪だけではなく、先のサッカー界を見据えなければいけませんし、大きなステップとしてぜひ東京五輪で輝いてほしい。輝くといえば、胸に何かを掲げなければいけませんので、(メダル獲得という)大きな目標をもって期待したいと思います。必ずそういう成果をあげてくれると期待しております。(東京五輪は)サッカー界にとっても大きなイベントですし、日本のスポーツ界にとっても大きなイベントです。それに対し、ぜひ力を注いでほしいと思いますし、森保監督だけではなく、われわれ協会もしっかりサポートして、皆さまの大きなサポートもいただきながら、成功していきたいと思っています。

森保 皆さん、こんにちは。この度、2020年東京五輪サッカー男子日本代表の監督に就任させていただく森保一と申します。本日はお忙しい中、多くの方にお集まりいただきありがたく思っております。そして、今日この場を設けていただいた関係者の皆さま、本当にありがとうございます。自国開催である東京五輪で監督をするということは、結果を求められると思いますし、重責ですが、われわれを支援、応援していただける皆さまに喜んでいただける結果を出せるように、全身全霊をもって五輪に向かっていきたいと思っております。

 これから私とともに戦ってくれる選手たちは、グラスルーツの頃から多くの指導者に育てられてきています。おそらく現在Jリーグに所属している選手、大学の選手を多く見ることになると思いますが、たくさんの指導者の方々、関係者の方々が育ててきた選手だと思います。私とともに戦う中で、さらにいい経験を積んでもらい、これまでの指導者の方々、関係者の方々の努力が花咲くように、そしてさらに選手が伸びて、皆さんに喜んでいただけるように、結果を求めながら、成長の助けになれるような仕事をしたいと思っております。今後ともよろしくお願いします。

選手をさらに上の舞台に引き上げたい

西野技術委員長(左)は「東京五輪で最高のサッカーを表したい」と力強く語った【スポーツナビ】

――就任を決意した中で、どこに最も魅力を感じたのか? また、1968年のメキシコ五輪での銅メダルが日本(サッカー)の最高成績だが、自国開催の東京五輪でどこを目指すのか?

森保 まず、私は(監督就任にあたって)2つのことを考えています。1つは日本代表ですけれど、アンダー世代の代表であるということ。これまで指導者の方たちが大切に育ててきた選手たちを、さらに上の舞台に引き上げられるように関わっていきたいと思います。さらに、日本の代表であればロシアのW杯もそうですけれど、その次の2022年のカタールでのW杯に、多くの選手に行ってもらえるように、そういう育成をしていきたいと思っています。彼らが普段プレーする場、Jリーグが主にそうだと思いますが、Jリーグのみならず大学や所属チームで活躍していただき所属チームに喜んでいただけるような、そういう選手の育成をしていきたいと思います。

 そしてもう1つの質問については、先ほど西野技術委員長も言われたとおり、自国開催で皆さんが望んでいることは、間違いなくメダル獲得だと思いますので、メダルを獲得できるように頑張っていきたいと思います。

――3人へ質問。森保監督には、サッカーではどのようなスタイルを目指したいか、選手に求めるものを教えてほしい。田嶋会長へは先ほど「全面的に支援する」と言っていたが、今後に向けてどういった全面支援を考えているのか。西野技術委員長には自身の監督経験をもとに、森保監督にアドバイスするとすれば何があるかを教えてほしい。

森保 抽象的にはなりますが、やりたいサッカーとしては、組織力をもって連係、連動して攻守に関わるサッカーをしたいと思います。もちろん個の成長を促すために、個という部分に目をつぶってはいけないと思いますが、日本人の良さである連係、連動して攻守共に全員で戦う、そういうサッカーを目指していきたいと思います。

田嶋 私の方から何をやれ、これをやれと言うことを押し付ける気は一切ありません。まずは森保監督が何を望むか、何がしたいのか。そして、どんな大会があるのか。すでに12月はタイでの試合があります。そして1月にはアジアのU−23の大会(AFC U−23選手権)があります。そういった出なければいけないもの、森保監督がこういうトライをして20年の五輪につなげたいというもの、そういったものをできる限りバックアップしていきたいと思っております。

西野 20年前に(五輪代表監督の)経験をさせてもらいました。その当時とは環境もまったく違いますし、サッカー界が変わってきた。アドバイスというと、昔とは違うと思うんですけれど、当時は28年間出場できなかった中で五輪本大会に出場できて、プロサッカー(Jリーグ)も始まったばかりでした。やはり出るだけではなくて、そこで成果を出すためにもいろいろなことを協会にも要求しましたし、JOC(日本五輪委員会)に対しても非常に強く「勝つためにはこうしたいんだ」という要望をたくさん出しました。

 サッカー界はプロができたからと言って、いろいろなことを言ってくるなとか、要望を出し過ぎたとは自分自身では思わないんですけれども、そう思われました。やはりいろいろなサポートを受けた中で、選手の要望とかスケジュールや強化遠征とか、いろいろなことに対して要求はしないと世界で結果を出すのは難しいと思いました。そういう意味で、森保監督にもそういったことをたくさんしてほしい。クラブから代表になって、また環境も変わりますし、思い通りにいかないこともあると思うので、そういったことをストレートにあげてほしいと思います。当時は本当に、「この監督はちょっとおかしいんじゃないか」と散々言われました。いろいろなことをやる中で、「奇人だ、変人だ」と思われるのが成功に結びつく(笑)。

 最初はいろいろなことがあって、おかしいと思うようなこともあると思いますが、それをぜひストレートに出してほしい。サッカーのスタイルもそうだと思いますが、やはり自分でセレクトできて、理想のサッカーに持っていけるわけなので。ぜひそういったプレッシャーに惑わされることなく、自分のスタイルというものを貫いてほしい。よく知っている監督なので、選手たちの特徴も分かっているので、ブレずにやってほしいなと思います。要求をストレートに出してもらって、一緒にチームを高めていきたいなと思っています。いろいろな予算のことは、会長に全部お任せしたいと思いますけれども(笑)。本当に全面的にサポートして、過去に五輪監督を経験された方の意見も聞いたりしながら、東京五輪で最高のサッカーを表したいと思っています。

――広島で実績をあげたスタイルが土台となるのか? また、この代表を目指す東京五輪世代の選手に求めるものは?

森保 まずスタイルですが、これから選手を見極めながら、柔軟に考えていきたいと思います。広島でやっていたことはもちろんベースとして持ちながら、形だけではなくて、個人戦術、集団戦術というところ。サッカーの原理、原則自体は同じだと思いますので、そういったベースアップをしながら、最良なスタイルで戦っていきたいと思っております。また、東京五輪を目指す選手たちへのメッセージは、夢を持ってチャレンジしてほしいと思っています。

――現役時代に「ドーハの悲劇」を経験しているが、どう感じたのか? またあの経験が指導者人生の中でどのような影響を与えているか?

森保 あの経験は、夢が目の前まで実現できそうな思いでピッチ上にいて、でも最後に守りに入ってしまえばやられるんだという経験をした。選手たちには思い切ってプレーをして、守備はもちろん大切ですが、守備することだけを考えて、ボールを奪うことを考えていなければ、それは守備にはならないというところ。そういうところが(ドーハの悲劇となったイラク戦の)最後の局面で出ていたと思うので、そういったことを伝えていければと思っています。

 私自身、あの経験で何が変わったかというと、あれ以上に悲しい思いをすることはないだろうなと思っています。いろいろなプレッシャーの中でプレーしましたが、悲しい思いというよりも、全てをポジティブに考えることができるようになった経験でした。どん底とか、心が折れそうになったりとか、心が折れてしまうこともあるかもしれないですけれど、その後さらに選手として成長して、続けていかなければいけないということを教えてもらった経験でもあると思うので。常に前向きに、前進することを選手たちに伝えていきたいです。

年齢や実績に関係なく五輪に出場する扉は開かれている

――選手を映像で確認しているとのことだが、選手たちにどのような可能性を感じているか? また、久保建英(FC東京U−18)など、U−17世代のような若い世代をどんどん引き上げていきたいのか、あるいは原石を発掘していきたいのか。どのような選手選考をしていきたいのか教えてほしい。

森保 選手選考については、五輪に出場できる世代の選手であれば、年齢や実績に関係なく五輪に出場する扉は開かれていると思います。その世代の選手、五輪に出たいと思っている選手には、夢を目指してひたむきに頑張ってほしいなと思っています。

 また、選手の選考につきましては、これまでの世代別代表の監督の方々や協会内部、Jリーグ、大学、高校といろいろなところから情報をいただきながら、選手が埋もれて終わることのないように、少しでも多くの選手に成長してもらえるように、さらにチームが強くなっていくような選考をしていきたいと思っています。固定してというよりも、2年半ぐらいの期間の中で、今の年代でトップの選手でも、力関係が変わってきたりする年代だと思いますので、より多くの選手を見ながら、選手個人の力、チーム力を引き上げていきたいと思います。

――ヨーロッパを回っていて、何か気づきはあったか?

森保 まずはサッカーを取り巻く環境が違うなと。私が見たのはクラブチームでしたが、本当に「おらが街」のチームを応援しているなという。普段の生活の中にそういう雰囲気があって、スタジアムではもちろんチーム同士の対戦がありますが、それよりもホームチームのサポーターが相手チームの選手、サポーターに対して「この街に来たら勝てると思うな」という雰囲気を作って、ピッチとスタジアムが本当に一体感をもって試合が行われていると感じました。

 まずは、われわれのチームが皆さんに応援していただけるように頑張っていく。頑張っているなと感じてくれたファン・サポーターの方々にさらに応援していただいて、日本の力として試合ができるように、相手を上回っていきたいと思っています。まずは「こいつら頑張っているから応援してあげたいな」と感じてもらえるようにというのは、ヨーロッパで感じました。

 あとは選手個々の自己主張と野心と、成功をつかみ取るためにお互いがしのぎを削っているなと感じました。少し(選手と)話をさせてもらいましたが、普段の練習をしているときにも感じたことがいろいろあるので、そういったところをこれから選手たちにも伝えていきたいと思っています。

――就任にあたって、田嶋会長や西野技術委員長にリクエストしたことはあるか? また、新たに何かリクエストはあるか?

森保 コーチングスタッフについては今、お願いしているところです。新たなお願いは出てきたらその都度お願いしていきたいと思いますが、今お2人におっしゃっていただいたように、常に全面的にバックアップしていただけるとのことですので、心強くやっていきたいと思います。

――コーチングスタッフの話があったが、どういった方々と戦っていきたいと考えているか? また、広島で得たものをどのように東京五輪につなげていきたいと考えているか?

森保 スタッフの編成に関しては、Jリーグはシーズン中ですし、そこで仕事をしている方のお名前も挙げさせていただいているので、ここで具体的な名前を挙げるのは控えさせていただきたいと思います。

 私はマツダ、広島でプレーし、指導者としても経験をさせてもらいました。無名な選手でしたが、広島では選手としても、指導者としても、そして人としても育ててもらったと思っています。そういった意味で、私が見る選手たちにも、偉そうに教えるつもりはないですが、サッカー選手としても、人としてもプラスになったなと思ってもらえるように、自分がしてきてもらったことを、私が預かる選手にもしていきたいと思っています。

 また、私は長崎出身であり、広島では一番長い時間を過ごしましたが、その2つの都市は世界で2カ所しかない被爆地で、私自身、今までの人生を平和都市で過ごしてきました。五輪は平和の祭典だと思っていますので、そういった発信ができれば幸いです。

――今回、予選がない中でのチーム作りがポイントになると思う。若い世代は予選の真剣勝負を通して成長する部分もあると思うが、それをカバーするためにどういうことを考えているのか? 協会としてはどういうサポートをしていこうと思っているのか?

西野 U−20代表が韓国で世界大会を戦い、U−17もインドで世界と戦った。この育成世代に関しては、非常に強化をして、海外遠征などをたくさんさせていただきました。各大陸に行って、いろいろな経験を積んだつもりではいました。その中では大きな経験をし、非常にいろいろな成果もあげていて、これは本大会で間違いなくいい成果を出せるのではないかという期待も強くありました。そういう中で、実際に本大会に行ってみると、まったくと言っていいほど、相手チームの日本に対する対応が、やはり世界とはワンランク違うなという経験ができた。やっぱり、決勝トーナメントに上がってから、(ベスト16の)ステージを越えられない、U−20、17世代の戦いがありました。

 日本のらしさ、特徴が生かされる技術力や組織力は、あのレベルまでは通用しましたが、世界はそこからまた違うんだということを選手、スタッフ共に違う景色を見て感じたと思っています。これから強化していく中で、本当に強化プランを立てるのは非常に大変で、国内のカレンダーと合わせたり、海外に所属している選手もいますから、監督が言うようにラージ(大枠)を見る必要があります。強化プランも本当に真剣に考える必要がありますし、そういったクオリティーを高めて準備していかないと、五輪を可能性がある大会と思っていても難しくなる。2つのカテゴリーを見て、思うところもあったので、そういった強化プランを見直して、世界基準をもう一度捉えた中でやっていかなければいけないと思っていて、監督からも要求をもらって考えていきたいと思っています。

森保 予選がないというのは、全体的な底上げをしながらチーム作りができるというメリットがあると思っています。真剣勝負をしながら、勝ってチームを結束して、あるいは自信を持って選手、チームがステップアップしていくということがあると思いますが、そこは予選がないメリットを生かして、じっくりチーム作りをしていきたいと思います。予選がない部分で足りないところは、いろいろなコーチ、指導者の方々、西野技術委員長などと相談しながら、もうひとつ殻を破って、世界と戦うためにはどんなところが足りないのかというのをトレーニングで生かして、強化試合もいろいろなところでできると思いますので、そういう中でどれだけ情熱を持ってやれるかだと思っています。


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