ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2017.11.30

日本人全員が「日本代表」として 太田雄貴が描く2020年のTOKYO

2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで約1000日。私たち日本人はホストとして、どのように世界の人々を迎え、いかにすれば素晴らしい大会をつくり上げられるだろうか――。東京2020大会の招致活動に携わり、現役時代はフェンシング男子フルーレでアテネ、北京、ロンドン、そしてリオデジャネイロと4大会連続でオリンピックに出場し、個人・団体でそれぞれ銀メダルを獲得。今はフェンシング協会の会長を務める太田雄貴さんに、心に描く東京2020への想いを聞いた。

東京オリンピックは、変わるチャンス

フェンシング協会の太田雄貴会長が、自身も招致活動に携わった東京2020大会について思いをはせた【写真:築田純】

リオデジャネイロオリンピックで負けて、僕は現役を離れ、今年の8月にフェンシング協会の会長に就任しました。他の競技団体と比べても、つい最近まで競技選手だった31歳の僕のような若い人間が協会会長になる、これは本当に異例のことですが、だからこそ、「攻める」ことができるのではないか。そう思って新たな取り組みをスタートさせています。

まずはフェンシングを多くの人に見てもらう、実際にやってみて、触れてもらう。お金を払ってでも見てもらうような競技に生まれ変わる必要があると思います。例えばスポーツとしてだけでなく、音楽やアート、さまざまな分野とコラボレーションして今までと違った見せ方をしていくこと。極端に言えば、「フェンシング会場はライブ会場みたいだね」と思ってもらってもいい。東京オリンピックでも、他競技とは全然違う空気感をつくることができたら面白いですし、変わるチャンス、成長できる瞬間にしたいと思っています。

応援が、文化として根付いてほしい

ロンドンオリンピックの男子フルーレ団体準決勝で、ドイツを破り喜ぶ太田(手前)と盛り上がる応援席。東京2020でもこのような光景が見られるか【写真は共同】

オリンピックで残したいレガシー。僕はその一つが「応援」ではないか、と。ヨーロッパや米国のプロスポーツと比べると、残念ながら日本はまだ応援が文化として根付いていません。どちらかと言えば、観客にとってスポーツは「見せてもらう」もの、という発想が強いのかもしれません。でも、歌舞伎やAKB48を代表するライブエンターテインメントのように、観客が参加することで一つの作品になるように、スポーツも観客が果たす役割は大きい。「がんばれ!」というリズムで、手を叩き、声援を送るだけで選手のパフォーマンスに直結できる、自分もこの作品の一部なんだ、と思ってもらえるようになればもっともっと、いい方向に変わっていくことができるのではないでしょうか。

フェンシング協会会長としては、2020年の東京オリンピックでお客さんがいっぱい入った、満員のフェンシング会場で日本人が金メダルを獲り、お客さんも含めて歓喜の涙を流すのがベストな絵です。そして全体としては、全員が心に日の丸を持って、訪日観光客やオリンピックを見に来る人々を、日本人全員が「日本代表」としておもてなしをする。そんな気持ちで、大会が成立できればベストなオリンピックになるのではないでしょうか。

太田雄貴(おおた・ゆうき)

1985年11月25日生まれ、滋賀県出身。2006年アジア大会、フェンシング男子フルーレ個人で金メダルを獲得すると、2年後の08年北京オリンピックで決勝進出を果たし、日本フェンシング史上初の銀メダルを獲得。さらに12年ロンドンオリンピックでも団体戦で銀メダルに輝いた。15年世界選手権でも個人で金メダル。16年リオデジャネイロオリンピック後に現役を引退し、現在はフェンシング協会会長。


▼ライタープロフィール

田中夕子
1976年神奈川県生まれ。日本大学短期大学部生活文化学科卒業。なぜか栄養士免許を有する。神奈川新聞社でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部に勤務。2004年からフリーとしての活動を開始。高校時代に部活に所属したバレーボールを主に、レスリング、バスケットボール、高校野球なども取材。


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