ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
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誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
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ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2018.11.09

残したいレガシーは「自転車競技の聖地」 静岡県・東京2020都市ボランティアの取り組み

東京2020大会は東京を含む首都圏のみならず、一部地方でも開催される競技がある。9月26日に始まった大会ボランティア、東京都都市ボランティアの募集に先駆けて、3月に都市ボランティアの募集を開始した静岡県の取り組みを、県文化・観光部スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進課の鈴木学さんに聞いた。

自転車競技の多くが開催される静岡

──2020大会ではBMX以外の全ての自転車競技が静岡県内で開催されます。静岡で特に自転車競技が盛んといった背景があるのでしょうか?

鈴木 静岡県伊豆市に自転車トラック競技の世界標準仕様を備えたベロドロームがありますが、だからといって自転車競技が盛んといったことはないですし、知らない方も多くいらっしゃると思います。ですから、オリンピック・パラリンピックに限らず自転車競技そのものを知ってもらったり、競技場に実際に来てもらったりすることが大切と考えています。自転車競技がどういったものか伝えていくことで、さらに関心を持つ方が増えると思いますし、それが静岡のレガシーにも繋がると思います。

伊豆ベロドローム外観

どこよりも先駆けてスタートした静岡県のオリパラボランティア募集

──静岡県としてどういった意気込みで都市ボランティア募集をされているのでしょうか?

鈴木 オリンピック・パラリンピックの成功のためには、ボランティアの方々の活躍はなくてはならないと考えております。我々としては都市ボランティアとしてではありますが、ボランティア参加したいという皆さんの気持ちをいち早く受け止め、できるだけ長い期間盛り上げていきたいと考えています。

──どこよりも早く募集スタートしたきっかけや理由を教えてください。

鈴木 なるべく早く募集開始することで、競技を知ってもらう時間を十分とることもできますし、ボランティアとしてエントリーされた方を通じて周りの方に「こんな競技があるよ」と伝えてもらう、そんな波及効果もあるので、なるべく早めにスタートすることになりました。一部では「早すぎるのではないか」という声も上がりましたが、おかげさまで予定人数を上回るほどの応募をいただきましたし、募集を締め切った今でも引き続きお問い合わせをいただいています。

静岡県都市ボランティア オリエンテーションの様子

──3月に募集をスタートし、5月末の段階では400名程度の応募しかなかったのが、6月末には予定の700名を超えました。1ヶ月間で倍近く増やすにあたり、どんなことをしましたか?

鈴木 5月初め頃にはPRのテコ入れを行い、静岡県内の大学や企業、自治体を回って説明会を開催しました。やはり募集が早すぎたこともあってメディア等で地元の方々に情報が行き届かなかったという反省から、直接伝えていくことで知ってもらおうと考えたのがきっかけです。最近ではボランティア申込者向けのオリエンテーションがスタートしたこともあり、関連記事のメディア露出も増えているので、以前より反応は増えている印象です。

──企業の反応としてはいかがでしたか? 社員がボランティア参加することに協力的な様子でしたか?

鈴木 やはり「せっかく地元でオリパラ大会が開催されるのだから」と、企業側から勧めていただいて応募された社員の方もいらっしゃるようです。

──現時点で応募者はどのような方が多いですか?

鈴木 年齢層としては50代以上の方と、大学生の方が多いですね。これらの間を埋めるためにも、できればもう少し30〜40代の方にご参加いただきたいなと考えているところです。

──やはりその年代の方は、大会時に仕事が5日間休めるかどうか分からなかったり、家庭の事情で参加できなくなることを心配したりして参加をためらっている方も多いようです。

鈴木 都市ボランティアは大会ボランティアより活動期間が短いですし、シフトを工夫することもできるので、ご興味があるならとりあえず応募していただきたいなと思います。

──既に6月末に募集は締め切られていますが、追加募集を検討しているということでしょうか?

鈴木 門戸は開いています。既に終えている研修も、来年もう一度開催する予定ですので、ご興味があるという方はぜひお問い合わせいただきたいと思います。

静岡県文化・観光部スポーツ局オリンピック・パラリンピック推進課の鈴木学さん

自転車競技だけでなく、静岡も知ってほしい

──東京から少し離れた静岡で競技が開催されることについての課題としてはどんなものがありますか?

鈴木 競技場までの交通の便など課題はいくつかあると思います。遠くからお越しになる観客の方は「静岡に初めて来た」という方も多く、だからこそ都市ボランティアの活躍に期待がかかっています。交通案内に限らず静岡県の魅力とおもてなしの心を伝えてもらうことで、来られた方が「競技を見るだけではなく、せっかくだから周辺を観光していこうか」と思ってもらえたらうれしいですね。

──静岡に来ることを検討している方にぜひ訪れてほしい場所はありますか?

鈴木 自転車競技が開催される伊豆ベロドロームは少し山の中にあるのですが、近くでいうと修善寺あたりは鎌倉時代からの古い街並みの残る温泉地ですし、三島市の三嶋大社を訪れるのもおすすめです。静岡は自然豊かな土地でもあるのでホタルが見られる地域も多く、浜松市まで行けば浜名湖の美しい景観にも触れていただけるので、静岡に来られる方には自転車競技ももちろんですが、ぜひこれらの観光地も訪れてみていただきたいですね。

東京2020大会でロードレースのゴール会場となる富士スピードウェイ

──都市ボランティアのオリエンテーションで配られる資料の中に大会ボランティアの募集要項も含まれていました。都市ボランティアと大会ボランティアの両立も可能なのでしょうか?

鈴木 もちろんです。やはり両方やりたいという方もいらっしゃるので、そういったやる気のある方々の気持ちを大事にしたいと考えています。

──「ボランティア活動はできないけど何かしたい」という方ができる参加の方法はありますか?

鈴木 自転車競技について興味を持っていただくことですね。静岡県では機運醸成の目的で記念イベントを行ったり、その他にも県内各地でいろんな自転車に関わるイベントが開催されています(※)。競技会場となる伊豆ベロドロームや富士スピードウェイでは参加型イベントもあります。1月には、富士スピードウェイで「ママチャリ日本GP」という、F1のサーキット場をいわゆる「ママチャリ」で走るイベントもあるんですよ。これらのイベントに参加したり、情報を広めたりしていただくことで、より多くの人が自転車競技、そしてオリンピック・パラリンピックに関心を持っていただけるものと期待しています。

(※)10月28日(日)清水町ゆうすいクリテリウム大会2018 、11月3日(土)伊豆E-BIKEフェスティバル、11月11日(日)しずおかパラスポーツパーク 、1月12日(土)ママチャリ日本グランプリ2019 など

──最後に、都市ボランティアを募集される静岡県として2020大会や、その先に向けてのチャレンジを教えてください。

鈴木 先ほどもお伝えした通り、2020大会の成功やその先に向けて自転車競技の機運を県内で醸成していくことで、静岡が"自転車の聖地"となることを期待しています。そういった自転車の文化がレガシーとして残ればいいなと思います。県内には伊豆ベロドロームといったハードがありますが、ソフト面でもしっかり残していけたらいいですね。

静岡県都市ボランティア オリエンテーション会場にて

(2018年8月 取材・文:新条正恵)

▼ライタープロフィール

新条正恵 
8ヶ国語を話すマルチリンガル、リオ大会通訳ボランティア。
外資系銀行ヴァイスプレジデント職を経て2014年に独立。独自ノウハウで開催する講座からは多くのバイリンガルを輩出。プライベートでは小学生の頃よりさまざまなボランティアに参加。仕事を休み参加したリオ大会にて通訳ボランティアとして活動した自身の経験と、3000種類もあると言われるボランティアについて現地で見聞きした内容を、講演や執筆活動を通し広く発信している。


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