ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
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世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
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ここでの出会いと発見を、
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東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.01.10

Bリーグ「サンロッカーズ渋谷」と渋谷区 地域社会の課題解決を目指す連携の意図

2018年10月14日、長谷部健渋谷区長がサンロッカーズ渋谷のホーム開幕戦に来場し、S-SAP協定締結セレモニーを実施した(写真提供:渋谷区)

渋谷区は2018年10月、渋谷区を本拠地とするプロバスケットボールチーム、サンロッカーズ渋谷を運営する株式会社日立サンロッカーズと、地域の社会的課題を協働して解決していく「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」(以下、S-SAP協定)を締結した。また同月14日、長谷部健渋谷区長がサンロッカーズ渋谷のホーム開幕戦に来場し、コート中央にてセレモニーを実施。「互いのリソースを掛け合わせて、区の課題解決に取り組んでいきたい。一緒に渋谷旋風を起こしましょう。GOサンロッカーズ!」とコメントした。

渋谷区では2016年よりS-SAP協定を推進している。この取り組みについて、渋谷区経営企画課企画調整主査主任の今井桐衣氏はこう話す。

「S-SAP協定は、渋谷区内に拠点を置く企業や大学等と連携し、それぞれの企業・大学の強みを生かして地域の社会的課題を解決していくことを目的に締結する新しい公民連携制度です。現在、19企業、8大学とS-SAP協定を結んでいます」

シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(S-SAP協定)の概要図(提供:渋谷区)

一方で、協定を締結する企業・大学等においても、これまで単独で行っていたCSR/USR活動が、区と連携することによって、地域貢献により深くコミットするかたちで見える化されることになる。また、パートナー企業・大学等が増えてきている中で、パートナー同士の横のつながりも生まれてきているという。

例えば、渋谷区では、全国に広がりを見せている「こども食堂」(※子供のために月数回、無償もしくは安価で食事を提供する活動)の渋谷区版ともいえる「渋谷区こどもテーブル」事業が行われている。増え続ける共働き家庭の子供たちの"居場所"をつくり、食事はもちろん、学習支援や季節のテーマに沿ったワークショップ、レクリエーションなど活動内容は幅広く、家庭や学校だけではなく地域全体で子供を育てることを目指している。

シダックス株式会社では、この「こどもテーブル」の一つ、「シダックス・アカデミー渋谷こどもテーブル」を運営しており、株式会社伊藤園がこの「こどもテーブル」にお茶に関する講座を提供した。

また昨年8月に開催された、新しい"種目"や"運動会"をつくり実際に参加するイベント「未来の渋谷の運動会」においては、株式会社みずほ銀行(渋谷支店)が特別協賛としてその開催実現に大きく寄与し、学校法人國學院大學は会場を提供しただけでなく、近隣の区立小中学校へと取り組みを展開していくサポートも行っているという。

「このように、少しずつパートナー同士の横のつながりが生まれてきています。年に一度、全パートナーをお招きして会合を行ったり、月に2回のメルマガ配信でそれぞれの取り組みを共有したりする中で、パートナー同士でお話をする機会や、それぞれの取り組んでいる活動を知る機会がありますので、そうしたところから新たに地域課題を見いだしてその解決に取り組んでいただいたり、新たなビジネスチャンスが生まれたりしています」

こうした中、昨年10月に、サンロッカーズ渋谷ともS-SAP協定が締結された。その経緯を今井氏はこう話す。

「これまでにもサンロッカーズさんは商店街のイベントへ積極的に参加されたり、選手の皆さんが区立小中学校を訪問したり、かなり地域貢献活動をしていただいていました。本協定を締結することでより強固なパートナー関係を築き、これからもっとさまざまな展開をしていきたいということで、サンロッカーズさんよりお声掛けいただきました。私たちとしましても、プロスポーツチーム初のパートナーということで、これまでに締結してきた企業・大学等とはまた違った角度から課題解決へのアプローチをしていただけるのではないか、他のパートナーと連携していただくことで面白い化学反応が生まれるのではないかといった期待感を持っていますね」

渋谷区は2016年10月に策定した「渋谷区基本構想」の健康・スポーツ分野において「思わず身体を動かしたくなる街へ。」を掲げ、渋谷区自身を"15平方キロメートルの運動場"と捉え、日常的な運動も、楽しみで行うスポーツも、全てが暮らしに溶け込むような街づくりを進めている。さらに昨年4月には「渋谷区スポーツ推進計画」で、スポーツを「する」「見る」「支える」「つながる」の観点から施策を打ち出しており、スポーツの総合的な振興に取り組んでいる。これらの考え方において、サンロッカーズ渋谷と渋谷区は非常にマッチングしていると今井氏は話す。

「以前、同じくS-SAP協定を締結しているボッシュ株式会社の本社の公開空地でフリースローコンテストが開催されたことがありました。サンロッカーズの選手も参加し、ファンの方々が多数駆けつけてくださったり、道行く人がふらっと立ち寄って楽しんでくださったり、とても盛り上がりました。決して面積が広いとはいえない渋谷区において公開空地を使ったフリースローコンテストというのは非常にマッチしていましたし、暮らしの中にスポーツが自然と溶け込んでいて、スポーツを通じて人と人がつながる。まさに渋谷区が『基本構想』や『スポーツ推進計画』で目指している姿で、サンロッカーズさんにはこうしたイベントにも積極的に参加していただけるところも、渋谷区が掲げるスポーツ推進の姿勢とマッチングしていると感じています」

サンロッカーズ渋谷と渋谷区では、1、バスケットボールを中心とした多様なスポーツ文化の振興に関する支援はもちろん、2、次世代育成に関する支援、3、地域コミュニティの活性化に関する支援、4、多様性社会(ダイバーシティ)の実現に関する支援、5、災害対策に関する支援など、非常に多岐にわたる領域において、区の課題解決に協働して取り組むと宣言している。

プロスポーツの価値は、「試合を見せる」ことだけではない。社会的課題の解決にどれだけ寄与していけるかは、スポーツ界の発展にとっても、日本社会の在り方にとっても、非常に大きな分水嶺となるだろう。サンロッカーズ渋谷と渋谷区がどんな取り組みを見せてくれるのか、今後も注目していきたい。


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