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2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
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東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.02.18

太田雄貴の挑戦 "知ってはいるがやったことはない競技"フェンシングをレジャー化する取り組み

日本フェンシング協会とアソビュー株式会社は、スポーツ庁「スポーツビジネスイノベーション推進事業」を受託し、「フェンシング競技のレジャー化」を推進すると発表した(写真提供:アソビュー株式会社)

公益社団法人 日本フェンシング協会は2017年8月、北京オリンピック個人、ロンドンオリンピック団体で銀メダルを獲得し、2015年世界選手権で優勝を果たすなど、現役時代に華々しい経歴を飾ってきた当時31歳の太田雄貴氏を会長に任命した。期待を一身に背負った若きリーダーは、フェンシングを集客できる競技・稼げる競技へと転換させることを目指して次々と改革に着手し、昨年の全日本選手権のチケットが販売開始からわずか40時間で完売したというニュースは多くのスポーツファン、関係者を驚かせた。

その太田氏が今、目指しているのが、「フェンシング競技のレジャー化」だ。レジャー・体験予約サイト「asoview!(アソビュー)」会員を対象としたアンケートによると、競技の認知者率は実に99.4%を誇るものの、経験者率はわずかに0.2%だったという。"知ってはいるがやったことはない競技"、それがフェンシングの現状だといえるだろう。

そこで、日本フェンシング協会は2019年1月、スポーツ庁のオープンイノベーションを促進する事業「平成30年度スポーツ産業の成⾧促進事業『スポーツビジネスイノベーション推進事業』」を受託し、「フェンシング競技のレジャー化」を推進すると発表した。また、その協業先として、「asoview!」を展開するアソビュー株式会社が選ばれたことも併せて発表された。「気軽に楽しめるフェンシング体験の開発」の意図について、アソビュー株式会社地域戦略部の日比野理人氏はこう話す。

「今後、フェンシングのファン層を拡大していくためには、競技を気軽に"遊んでみる"ことができる環境を用意し、多くの方により身近に感じていただく必要があると考えています。現状、ほとんどの方がフェンシングを知っているにもかかわらず、経験したことのある方がほとんどいないというのは、危なそう、怖そうというイメージであったり、体験できる場所を知らなかったり、そもそも体験できることを知らないということが背景にあると思います。例えば、昨今ではボルダリングやキックボクシングは気軽に楽しめるといった感覚がありますよね。ですがフェンシングはそのハードルが高いといえるでしょう。大事なのは、『試しにやってみよう!』と思える状態をつくり、"身近にある存在"にすることだと考えています」

アソビューでは、日本全国のアウトドアスポーツやものづくり体験、遊園地や水族館、日帰り温泉など640種類もの"遊び"を予約できる「asoview!」を運営している。今回の取り組みについても、これまでの知見を生かして、初心者が手軽に楽しめるように体験内容を設計し、「asoview!」上で簡単に予約できるようにすることで、"見る"スポーツから"遊ぶ"スポーツへの転換を図る。

「体験当日は、運動できる服装と靴を用意していただくだけで大丈夫です。剣やユニフォームは用意されています。最初に太田会長によるフェンシングの成り立ちや3種目(フルーレ、エペ、サーブル)の違いなどを説明する動画を見ていただき、ユニフォーム着用後には記念撮影を行います。もちろんお客さまのカメラで写真を撮ることもできます。それから基礎練習をやり、最後には参加者同士やコーチとの練習試合までできるようになっています。このプログラムをつくるに当たって私も体験してみましたが、終わるころにはものすごく興奮してしまいましたね(笑)」

現在、本取り組みで提携している教室は都内2カ所となっており、今後さらに拡大していくことが予定されている。
また2月7日には、今回の取り組みを記念して「フェンシングパーク produced by asoview!」が渋谷キャストGARDEN 広場で開催された。

「このイベントでは、『asoview!』から応募した方の中から2名が太田会長にフェンシングで挑戦してもらいました。挑戦した方はフェンシング初心者だったにもかかわらず太田会長からポイントを取ったのには驚きましたね。その他、現役選手が教えるフェンシング体験や、トップアスリート同士のデモマッチを行い、太田会長のユニフォームや剣に触れることのできるフォトコーナーなどを設置しました。平日日中の開催にもかかわらずに多くの方にご来訪いただき、非常に盛り上がりましたね。こうしたイベントを開催することでも、より多くの方にフェンシングに触れてもらい、親しみを持ってもらえたらいいですね」

2月7日に開催された「フェンシングパーク produced by asoview!」ではフェンシング初心者が太田雄貴氏に挑戦。ポイントを取られた太田氏が悔しそうな姿を見せる場面もあった(写真提供:アソビュー株式会社)

今後はフェンシングに限らず、さまざまな競技にも取り組んでいきたいという。

「『asoview!』ではこれまでにも、カヌー・カヤックやサーフィン、ボルダリングなどさまざまなスポーツを取り扱ってきましたが、競技団体との協業というのは今回の日本フェンシング協会さんとの取り組みが初めてとなります。競技団体と協業することによって、新たなスポーツ体験の市場を創り出すというのは、私たちにとっても新しいチャレンジとなります。弊社で取ったアンケートでは30代以下の方の約75%が『フェンシングをやってみたい』と回答していることからも、知っている人がこれだけいるのにやる環境がないというのは課題であり、また大きな可能性があると感じています。それがひいては競技の発展につながればと考えています。
あくまで個人的な意見としては、例えば、平昌オリンピックで大きな話題となったカーリングや、オリンピック競技の射撃、ボブスレーなんかはなかなか気軽にできるものではありませんし、パラリンピック競技もこれからどんどん注目を浴びていくと思います。そういった競技を気軽にやれる環境を創っていくことが私たちの使命だと考えています」

働き方改革やAIの登場によって、今後ますます余暇の時間が増えていくことが予想される。増加した余暇をどのように過ごすのか。アソビューではその選択肢を最大化し、その質を向上させることで"心の充足"を実現させていきたいと日比野氏は話す。

「アソビューでは企業理念に『ワクワクをすべての人に。』と掲げています。モノが満たされた時代において、今求められているのはコト、"心の充足"であると考えています。私たちは余暇の時間、平日の夕方や休日にいろんな遊びがあるんだということを知っていただき、実際に遊んで楽しんでもらう。今までに経験したことのないワクワクを感じてもらうことで、より人生が豊かになる。そういった環境をこれからも創り続けていきたいですね」

スポーツ庁では2025年までにスポーツ産業市場を15兆円規模へと成長させることを目標に掲げている。スポーツ振興の中核を担う中央競技団体の経営基盤、特に競技の普及・マーケティングの強化に当たっては、外部の専門的知見・スキルを持つ人材・組織と連携することが重要とされている。日本フェンシング協会とアソビューによる今回の取り組みは今後、他競技団体が普及・マーケティングに取り組む際のロールモデルとなることが期待されている。


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