ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
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世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
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ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.02.26

「ITでスポーツ団体の支援を」ブラインドサッカーのVR体験アプリ開発などを行うフューチャーの取り組み

テクノロジーをベースとした課題解決型のITコンサルティングサービスを提供するフューチャー株式会社は昨年12月、「スポーツ団体の事業をITで支援するプロジェクト」を発足したと発表した。

同社グループではプロスポーツにおけるITコンサルティングで複数の実績があり、強みとしているテクノロジー分野での技術力や経験を生かして、スポーツの魅力をより広く伝え、競技のファンを増やすための活動を行っていく。フューチャー株式会社 CEO室の堀内亮平氏はその経緯をこのように話す。

「もともとのきっかけは、ブラインドサッカー(視覚障害者5人制サッカー)との出会いです。3年前に(NPO法人)日本ブラインドサッカー協会の方とお話しする機会がありました。その時に言っていたのが、『2020年以降に課題を感じている』というものでした。その一つが、『ブラインドサッカー競技をより広く知ってもらうこと』です」

2013年に東京でのパラリンピック開催が決まって以降、パラスポーツの注目度は過去に類を見ないほどに高まりを見せている。だがそれはあくまでも、パラリンピック"バブル"ともいえるものだ。2020年以降も持続して発展していくためには、東京パラリンピックはあくまでもきっかけとして、より多くの人たちに競技を知ってもらうことが重要になるだろう。

「私たちの強みであるITで何か力になれないかと日本ブラインドサッカー協会と相談を重ね、2016年のブラインドサッカー日本選手権で、競技をVR(バーチャル・リアリティー)体験できるイベントを行いました。ブラインドサッカーの選手は視覚が無いため、ボールの転がる音や、味方からの指示、相手選手の声を頼りにプレーしています。こうしたブラインドサッカーの世界を一般人でも気軽に理解できるよう、音を頼りにプレーするシミュレーション形式の体験アプリを開発しました」

フューチャーが制作したブラインドサッカーVR体験アプリの画面(写真提供:フューチャー株式会社)

イベントには子供から高齢者まで多くの人たちが参加し、その後も日本ブラインドサッカー協会主催の大会やイベントで使われている。実際に体験した人からは、「選手たちはこんな状況でプレーしているんだ」「自分は全然できなかった、選手はすごいな」といった声が聞かれた。堀内氏は、自分の持っている技術や知識、経験から、ブラインドサッカーという競技をより多くの人に知ってもらい、また親しみを持ってもらえたことに手応えを感じた。それ自体は小さなことかもしれないが、日本ブラインドサッカー協会の掲げる「ブラインドサッカーを通じて、視覚障害者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現する」というビジョンを前進させることにもつながっていくと感じたという。

さまざま大会やイベントで多くの人たちが気軽にブラインドサッカーの世界を体験した(写真提供:フューチャー株式会社)

「フューチャーはITコンサルティングの企業ですので、主にクライアントに対して価値を提供することが本業ではあります。ですが、それだけではなく、もっと広い視野で社会に対して何か価値を提供していくということもまた大事なのではないかと実感しました。私自身、もっとそうした活動を続けていきたいと思いましたし、同じ想いを抱く人間が会社の中にもいるんじゃないかと考えたのです」

そうして発足したのが、前出の「スポーツ団体の事業をITで支援するプロジェクト」だ。その一環として、日本ブラインドサッカー協会とは昨年9月に、正式にサプライサービスパートナー契約を締結した。引き続きVR体験アプリの開発・提供をしていくだけでなく、ファン獲得のための施策を、ITを活用して支援していく。

「これまではVR体験してもらってもワンショットで終わってしまい、次につなげることができていないという課題がありました。例えば次に行われる大会の観戦や競技の体験会に参加してもらえるような導線をつくっていくことで、ブラインドサッカーのファンになる人を増やしていきたいと考えています」

また、ブラインドサッカー支援の他にも、パラアイスホッケー日本代表として3度のパラリンピックに出場し、バンクーバー大会で銀メダルを獲得した経歴を持つ上原大祐氏と新たなプロジェクトを進めているという。

「何かしらの事情で歩けなくなった子供たちや、入院中の子供たちに、ITを使ってパラスポーツを体験してもらうことができないかと考えています。スポーツの楽しさを感じてもらい、実際にパラスポーツを志してもらうことだったり、それをモチベーションにリハビリを頑張ってもらったり。ちょうどブラインドサッカーのVR体験アプリを制作した実績もあり、昨年上原さんからご相談いただいたことがきっかけです。現在はプロトタイプをつくっているところです」

パラアイスホッケー日本代表として3度のパラリンピックに出場した上原大祐氏とも新たなプロジェクトを進めている。(写真提供:フューチャー株式会社)

「スポーツ団体の事業をITで支援するプロジェクト」は現在、30名ほどの有志メンバーによって行われている。各メンバーはメインとなるITコンサルティング等の業務に携わりながら、自発的に同プロジェクトにも関わっている。堀内氏自身も、グループ企業であるコードキャンプ株式会社で取締役COOとして事業を推進する傍ら、少しでも時間をつくり出しては同プロジェクトに取り組んでいる。

「就職活動の時にスポーツ系かIT系の企業に絞って選考を受けていました。スポーツには人の心を動かす力がありますよね。自分自身も、スポーツに心が動かされることが何度もありました。最終的にIT系を選択しましたが、思い返してみれば、ずっとどこかでスポーツに関わりたいという気持ちがあったんだと思います」

日本政府が近年「働き方改革」の一環として副業・兼業を推進するなど、今後も働き方はますます多様化していくだろう。それは、自分自身で主体的にキャリアをつくっていく時代へと移り変わっていることを意味している。本業以外の時間を何にどう使うのか、それは自分自身への投資になるともいえるだろう。

「自分でこうした働き方をしてみて、自分自身の幅が広がりますし、そこで新たに得た知見やアイデアはメインの業務にも生きているようにも感じます。やりたいことを自分で見つけてやっているので非常に楽しいですし、モチベーションが高くなって日々の業務にもいい影響を及ぼしているなと感じています。こうした経験をもとに、同じ想いを抱いている社員に同じような経験ができる場を提供したいというのが、このプロジェクトを立ち上げた背景にあります」

堀内氏は最後に、2020年以降を見据えてこう語った。

「スポーツ団体の方たちは、今は盛り上がっていても、2020年以降は注目度が下がることで、スポンサーやファンが離れていってしまうのではないかという危機感を持っています。だからこそ、今、スポーツ団体やそこに関わる人たちにとって、新たな資産となるものをいかにしてつくることができるのか。私たちが取り組んでいるファン化への導線づくりはもちろん、強化面や運営面において2020年以降に活用できるものを残していきたい。フューチャーの理念の中に『ないものはつくる』とあるように、新しいものを切り拓いていくことを後押ししてくれる社風がありますし、これからも社会に対して新しい価値を提供していけるよう、さまざまなことに挑戦していきたいですね」


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