ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.04.13

日本が世界一の種目も パラリンピック開幕500日前、予習しておきたい注目競技はこれだ

いよいよ東京オリンピックまであと500日を切ったわけだが、オリンピック閉幕の2週間後に開幕するパラリンピックも4月13日であと500日となる。最近は、テレビCMやスポーツニュースでもパラアスリートを目にすることが増えてきたが、実際のところ、よく知らないという人も多いのでは? 今回は開幕までにチェックしておきたい競技や選手、これから日本で開催される大会を紹介したい。

日本は強いの?

2020年8月25日(火)~9月6日(日)の13日間にわたって開催されるパラリンピックは、22競技で実に500個以上の金メダル争いが行われる。前回のリオパラリンピックでは中国やイギリスが金メダルを量産したが、日本は金メダル「ゼロ」。ただ、メダル総数では計24個(銀10個、銅14個)を獲得し、2012年ロンドン大会の計16個(金5、銀5、銅6)を上回ったのは明るい材料だった。さらには、ジュニア・ユース世代が参加したドバイ2017アジアユースパラ競技大会では金メダルランキング1位、昨年10月に行われたインドネシア2018アジアパラ競技大会ではメダルランキング第2位の成績を残している。

2012年ロンドンパラリンピック閉会式の様子(写真:アフロスポーツ)

メダル有望競技は?

そんな中、スポーツ庁は3月27日、東京オリンピック・パラリンピックでのメダル獲得に向けて、今年度と来年度の強化に関する助成金を増額させる「東京重点支援競技」を発表した。現在のところオリンピック・パラリンピック合わせて23競技が選ばれているが、その対象になったパラリンピックの8競技がイコール"メダル有望競技"である。さて、どんな競技が名を連ねているのだろうか。

日本が世界一! 車いすラグビー

まずは、頸髄損傷などにより四肢に障がいがある選手がプレーする4対4の屋内球技<車いすラグビー>。車いすごとぶつかり合うタックルが認められており、その激しさから"マーダーボール(殺人球技)"や"格闘球技"と呼ばれることも。ボールは丸い専用球を使用し、両サイドにあるトライラインに向かってボールを運ぶが、その際前方へのパスも認められる。この車いすラグビー、リオパラリンピックでも銅メダルに輝いているほか、昨年8月にオーストラリアで開催された世界選手権で初めて世界一になっており、東京パラリンピックで最も金メダルが期待されている団体競技なのだ。

2018年ジャパンパラ・ウィルチェアーラグビー競技大会決勝(写真:松尾/アフロスポーツ)

世界ランキング1位がいる車いすテニス

ツーバウンドでの返球が認められている以外は、一般のテニスとほぼ同じ。ラケットを持った状態で巧みに車いすを操作する技術など、一度見ればそのスゴさがわかるのが<車いすテニス>だ。実施種目は、下肢に障がいがある男女のほか、腕にも障がいのある選手がプレーする男女混合の「クァード」があり、シングルスとダブルスで争われる。日本では、かつて107連勝した実績があり、最も有名なパラアスリートのひとりである国枝慎吾の存在で知られるが、リオパラリンピックでは、男子ダブルスでその国枝と"第一人者"齋田悟司が銅メダルを獲得。女子シングルスでは当時22歳の上地結衣が銅メダルを獲得しただけに東京大会ではより輝く色のメダルが期待される。2019年4月8日現在、国枝が世界ランキング1位、上地も同2位に位置し、東京では男女アベック優勝も夢ではない。

2016年リオパラリンピック・車いすテニス女子シングルス準決勝で戦う上地結衣(写真:アフロスポーツ)

自転車にも世界女王がいる

富士スピードウェイでロード、伊豆ベロドロームでトラックを行う<自転車>も面白い。選手は障がいの種類で使用する自転車(二輪、三輪、ハンドバイク、二人乗りタンデム)が決まり、さらにその程度によってクラスが分けられる。そんな自転車でも日本には、2018年のUCIパラサイクリングロード世界選手権のロードレースなどで優勝している"ロードの女王"杉浦(旧姓:野口)佳子、パラリンピック3大会連続でメダルを獲得している"両足義足の超人"藤田征樹という有力選手がいる。期間中は、日本人選手のメダル獲得の瞬間を目撃しに、静岡にも足を延ばしたい。

2016年リオパラリンピック自転車・男子ロードに出場した藤田征樹(写真:アフロスポーツ)

五輪同様"お家芸"の柔道

パラリンピックの<柔道>は、視覚障がいのある選手のための競技で、お互いに組んだ状態で「はじめ」が宣告され、常に組んだ状態で試合が行われるのが最大の特徴だ。オリンピックと同様に"お家芸"ながら、2012年ロンドン大会では金メダル1個と低迷。しかし、2016年のリオ大会では4個のメダルを獲得して復調しているだけに、東京大会でも日本代表選手団を盛り上げるに違いない。注目は高校時代インターハイに出場した女子57kg級の廣瀬順子。リオで日本の女子として史上初めて銅メダルを獲得、昨年のIBSA柔道世界選手権で銀メダルを手にしており期待を集める。

2016年リオパラリンピック柔道女子 57kgに出場した廣瀬順子(写真:アフロスポーツ)

メダル量産の期待がかかる水泳

リオ大会で7個のメダルを獲得するなど、日本が毎回、最もメダルを獲っているのが<水泳>だ。パラリンピックの水泳は、肢体不自由、視覚障がい、知的障がいの選手が出場。一般にパラスポーツでは車いすなどの用具を工夫して使うことが多いが、水泳は身体のみで勝負。東京大会でも、残存能力を最大限に活かしてスピードを競う選手たちの迫力ある泳ぎが見られるだろう。また、障がいによって、さまざまなスタート方法が認められているほか、視覚障がいの選手は、コーチがターンやゴール時に、壁に頭をぶつけないよう「タッピングバー」といれる棒で選手の身体をタッチし、その合図を送る。コンマ一秒の勝負の明暗を分けるコンビネーションも重要で、タッピングの瞬間は見る者も思わず力が入るに違いない。国内外のトップシーンで活躍するのは、先天性の疾患で2歳のときに視力を失った木村敬一や昨年のアジアパラ競技大会で5冠を達成した四肢欠損の鈴木孝幸らリオ日本代表組。アトランタからリオまで5大会に連続出場し、金メダル15個を含む20個のメダルを獲得している48歳の成田真由美も健在だ。

2018年アジアパラ・水泳男子 100m 自由形で優勝した鈴木孝幸(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

日本での知名度も高いボッチャ

脳性まひなどにより四肢に障がいのある選手のために考案された<ボッチャ>は、パラリンピック特有の競技だ。対戦する両者が赤と青の6球ずつを投げ合い、ジャックボールと呼ばれる白いボールにいかに近づけるかを競う。カーリングと異なり、的を動かすことができるため、最後の一球で逆転もあるのが醍醐味だ。国内では企業や学校などへの普及が進んでおり、パラスポーツの中でも知名度はうなぎ上り。もちろんリオ大会のチーム戦(BC1-2クラス)で銀メダルを獲得した影響も大きい。ナイスショットを決めた後の雄たけびが代名詞となっている廣瀬隆喜ら個性のある選手たちも魅力だ。

2018年アジアパラ・ボッチャ(チーム)の様子(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

パラリンピックでも花形の陸上競技

オリンピックと同じ新国立競技場が舞台となる<陸上競技>は、脳性まひ、切断などの身体障がい、視覚障がい、知的障がいの選手が出場。競技用車いすやカーボンファイバー製の義肢など、用具の進化も目覚ましく、それを使いこなす選手たちの技術も進化を遂げている。リオ大会の走り幅跳び(片大腿切断などのクラス)で銀メダルを獲得後、スノーボードで平昌パラリンピックにも出場した"義足の鉄人"山本篤、400mと1500m(車いすT52)の世界記録保持者・佐藤友祈が有望選手。また、先日、最終日に開催されるマラソン(視覚障がい、車いすなど男女5種目)がオリンピックと同じコースになることが発表され、注目度もこれから本格化しそうだ。

2016年リオパラリンピック陸上競技男子走り幅跳びで準優勝した山本篤(写真:アフロスポーツ)

東京でデビュー! バドミントン

東京パラリンピックで新たに正式競技として採用される<バドミントン>も盛り上がること必至だ。座ってプレーする「車いすクラス」と、上肢障がい、下肢障がい、低身長などのカテゴリーからなる「立位クラス」に分かれ、さらに障がいの程度によりクラスが分けられており、全部で14種目が実施される。そのうち、最も金メダルに近いのは、世界ランキング1位(2019年3月17日現在)の鈴木亜弥子だ。生まれつき右腕が肩の高さまで上がらないほかは健常者のトップ選手に引けを取らない。鈴木選手のように健常者の大会で活躍していた選手も多く、出場権争いも激しくなりそうだ。

2018年アジアパラバドミントン女子シングルスに出場した鈴木亜弥子(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

以上が重点競技だが、上肢障がいの選手が出場するテコンドーも東京大会からの正式競技だ。4年前に事故で腕を失ってからこの競技を始めた国内におけるパイオニアの伊藤力、ノルディックスキーの選手でもあり冬季パラリンピックメダリスト太田渉子ら役者も揃いつつある。

そのほか、井上雄彦によるマンガでも有名な車いすバスケットボール、見えない状態で驚異的なパスやシュートを繰り広げるブラインドサッカーなども東京大会の目玉競技。視覚障がいの選手が目隠しをし、音を頼りにプレーするブラインドサッカーやゴールボールなどは、惜しくもボールがゴールからそれたり、ボールがルーズになったりした場面で声を漏らしてしまいがちだが、プレー中は観客は静かにすることを求められる。パラスポーツならではの観戦マナーを知るためにも、今から大会に足を運ぶことが東京大会を楽しむ大切なポイントといえる。

世界の強豪も来日する今後の大会情報

今年はプレパラリンピックイヤーということで、日本のトップ選手はもちろんのこと、海外の有力選手のパフォーマンスを見られるチャンスが多数ある。5月18日(土)~19日(日)には、スイム、バイク、ランの合計タイムを競う「2019ITU世界パラトライアスロンシリーズ横浜大会」が山下公園周辺を会場に行われ、5月23日(火)~26日(日)は、千葉ポートアリーナで下肢などに障がいのある選手が行うシッティングバレーボールの国際大会「シッティングバレーボールチャレンジマッチ2019」が行われる予定だ。また、夏には東京大会の運営リハーサルになるテストイベントも始まり、本番と同じ会場で競技を観戦できる高揚感も味わえる。大会では体験会なども実施されているので、実際にやってみるところから応援を始めてみるのも楽しいだろう。

激戦必至の日本代表争い!

そんな中、すでに東京大会への出場を内定させている選手もいる。車いすテニスでは、昨年のアジアパラ競技大会シングルス男女優勝者にダイレクトエントリー枠が与えられたこととから優勝した上地結衣と国枝慎吾が東京大会の出場権を獲得。陸上競技・マラソンは、4月28日(日)にイギリス・ロンドンで行われるマラソン世界選手権で日本人選手が上位に入れば、東京パラリンピック内定日本人選手「第3号」が決まる。各競技の世界選手権や地区大会でも、優勝して内定というケースが続々と生まれるだろう。熾烈さを極める代表争いに注目しない手はない。

2018年アジアパラ男子シングルスで優勝した国枝慎吾(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

この夏には東京オリンピック・パラリンピックのチケットの一般販売が始まる。500日の節目をきっかけに、まずは気になるパラリンピック競技について調べてみてはいかが?

(2019年4月 文:瀬長あすか)


Yahoo! JAPAN
みんなの2020

スポーツや文化・芸術、社会貢献に関する、2020年に向けた「挑戦」を伝えます。 ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。それが、“みんなの2020”です。