ひとりひとりの2020に出会う。

2020年という、日本にとって特別な1年に向けて
スポーツを通じた絆を、
競技を支える人たちのドラマを、
世界に誇る日本の文化や芸術を、
誰もが参加できる社会貢献のあり方を、
さまざまな視点で切り取り、伝えていく。
ここでの出会いと発見を、
ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。
それが、“みんなの2020”です。

東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.07.04

最近よく聞くLGBT、東京2020との関係性は?

2019年4月28日・29日、国内最大のLGBTなど性的マイノリティに関するイベントである「東京レインボープライドパレード&フェスタ」が東京都渋谷区で行われ、参加者は20万人にのぼりました(※1)。会場となった代々木公園には出展ブースが並び、企業や行政、大使館によるブースが多数出展され、その数は社会のLGBTへの関心の高まりや取り組みの増加に伴い、年々増えています。
さらに来年の2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けダイバーシティ&インクルージョンは重要なテーマとして掲げられており、この流れは加速すると考えられます。

※1「東京レインボープライド」サイト:https://tokyorainbowpride.com

出典:東京レインボープライド2019

オリパラとLGBTの関連

東京2020の前に、オリパラとLGBTにまつわるこれまでの動きをみてみましょう。

2014年2月、ロシアで開催されたソチ・オリンピックの開幕式を、アメリカのオバマ大統領をはじめ、フランスのオランド大統領、ドイツのガウク大統領など、欧米の首脳が欠席しました。これは、2013年ロシアで『同性愛宣伝禁止法』とも呼ばれる法律が制定されたことへの非難が一因であるとも解釈されています。この法案は18歳未満の者に対する同性愛の「助長」にかかわった場合、罰金を科すという内容でした。

2014年12月、国際オリンピック委員会は「オリンピック憲章」を改訂し、性的指向への差別を禁止。2017年には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が制定した「持続可能性に配慮した調達コード」に、性的指向や性自認への差別禁止が明記され、オリンピック・パラリンピックにかかわる全企業に遵守が求められました。
これらの動きを受け、東京都では2018年10月「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を公布し、都、都民および事業者に性的指向や性自認への理解の推進、差別の禁止を求めています。

LGBTを取り巻く国内外の状況

そもそもLGBTの置かれている現状は、国や地域によって大きく違います。取り組みが異なる国同士が一堂に会し、国際的に注目が集まるオリパラの機会だからこそ、日本の取り組みは注目されています。世界の中での日本の現状を見ていきましょう。

世界には、性的指向や性自認を理由とした差別を禁止する法律を整備している国や、同性同士でも婚姻が可能で、同等の権利を保障する法律(パートナーシップ法など)がある国もあります。2015年、アメリカの連邦最高裁の判決により、アメリカ全州で同性婚法案が可決されたことは、世界的なニュースとなりました。一方、LGBTであることが死刑や禁固刑などの処罰の対象になる国もあります。

2011年、国連人権理事会で、性的指向と性自認に関する決議が採択されました。国連人権理事会は性的指向や性自認を理由とする暴力や差別に対し危惧を示し、日本政府は賛成票を投じています。

日本では、LGBTであることが処罰の対象になりません。一方で性的指向や性自認を理由とした差別を禁止する法律はなく、国連人権理事会から是正勧告を受けています。また、日本はG7の中で同性同士の婚姻や、同等の権利を保障する法律がない唯一の国でもあります。

しかし、昨今では東京オリンピック・パラリンピックも大きな要因となり、国内でもLGBTへの取り組みが注目を浴びています。
同性パートナーを認知する「パートナーシップ制度」を施行する自治体は、2015年に取り組みを開始した渋谷区・世田谷区をはじめ、20自治体に増えています(2019年4月末時点)。また、2015年に文部科学省から全国小中高校へLGBTの児童生徒への対応配慮を求める通達が出され、2019年から使用される中学校教科書の一部にLGBTにまつわる内容が記載されるなど、教育現場での取り組みが進んでいます。

また、企業の取り組みも進められています。2017年に日本経済団体連合会が行った調査では、42.1%の企業がLGBTに関して何らかの取り組みを実施し、34.3%が検討中であると回答しました(※2)。LGBT当事者にとっても心理的安全を保ち働ける職場になるよう、理解普及を目的とした研修の実施や、家族を対象とした福利厚生制度に同性パートナーを含むことを明記する企業も増えてきました。また、家族割など家族に向けたサービスを同性パートナーも使用できるようにするなど、消費者への対応も進んでいます。

国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の「3.すべての人に健康と福祉を」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」「10.人や国の不平等をなくそう」をはじめ、いくつもの項目にLGBTは関連すると考えられ、これからも行政や企業の取り組み増加が想定されます。

※2 2017 日本経済団体連合会「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」

2020年に向け動きはじめた「プライドハウス東京」とは?

さらに具体的な動きもあります。「東京2020オリンピック・パラリンピック最終日の2年前」となる2018年9月6日、東京オリンピック・パラリンピックの期間中に、LGBTの交流・情報発信の拠点となる「プライドハウス東京」が設置されることが発表されました。現在では、LGBTやソーシャル関連の活動を行うセクター横断の29の団体・個人、16の企業、4つの在日各国大使館が連携し、大きなムーブメントとなっています。

世界で初めて開設された「プライドハウス」は、バンクーバー冬季オリンピックのタイミングでした。以降、オリンピック・パラリンピックやFIFAワールドカップなど、国際スポーツ大会に合わせて各地のNGOが主体となり、様々な形で「プライドハウス」が設立運営されてきました。

「プライドハウス東京」は、「教育・多様性発信」「居場所作り」「アスリート発信」など7つのチームにわかれ、これまでにも様々なイベントを開催してきました。また、2019年5月17日には、国連合同エイズ計画(UNAIDS)とLGBTの人権およびセクシュアル・ヘルスに関する普及啓発における協働が決まり、ジュネーブにて覚書の調印式が行われるなど、国内外から注目が高まっています。

また、「プライドハウス東京」が最終的に目指すのは、オリンピック・パラリンピックの期間限定施設にとどまらず、そのムーブメントやコンテンツを活用して、日本初である常設のLGBTセンターを創設すること。次世代のLGBTの若者が安心できる「居場所」づくりを、2020年のレガシーとしています。

LGBTへの関心も、ダイバーシティへの熱量も、2020年のその後もうねりとなり続くことを願います。

(文・藥師実芳)


Yahoo! JAPAN
みんなの2020

スポーツや文化・芸術、社会貢献など、2020に関する「挑戦」をテーマに伝えるヤフーオリジナルコンテンツ。ひとりひとりが日本の未来を考えるきっかけに。