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東京2020オリンピック・パラリンピック開催まで

2019.07.24

中学1年生の金メダル候補も 五輪初採用の4競技、見どころは

デュー・ツアー決勝で滑る岡本碧優(みすぐ)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1年後に迫った東京五輪で新たな見どころとして注目されているのが、五輪初採用となる「スケートボード」「サーフィン」「スポーツクライミング」「空手」の4競技だ。

 国際オリンピック委員会(IOC)では大会毎に競技・種目の追加や見直しを行っている。東京五輪の新競技の特徴は、若者に人気のあるアーバン(都市型)スポーツが多く加えられたこと。自転車の「BMX・フリースタイル・パーク」やバスケットボールの「3×3(スリーバイスリー)」もその流れに沿って新種目として採用されている。

 新しく加わった4競技の中で、このところ日本勢がめざましく躍進を遂げているのがスケートボードだ。
 スケートボードは、前後に車輪が付いた板に乗ってジャンプや回転などの技を繰り出し、難度や出来映えを競う採点競技。皿や深いお椀のようなくぼ地を複雑に組み合わせたコースを滑る「パーク」と、街にあるような階段や坂道、手すり、ベンチなどを配置したコースで技を競う「ストリート」がある。規定演技はなく自由に滑りを表現できるのが魅力で、選手個々の"スタイル"も重要視される。
 そんな中、日本勢の選手層が厚く、金メダルに最も近いと言えるのが「女子パーク」だ。

パーク競技は複雑なくぼ地状のコースで行われる(写真:松尾/アフロスポーツ)

金メダル候補筆頭の中学1年生・岡本碧優(みすぐ)

 今年6月中旬のこと。東京五輪の予選対象大会第1戦として米カリフォルニア州ロングビーチで行われた「デュー・ツアー」で、世界のトップスケーターたちに衝撃を与えたのが、岐阜県の中学1年生・岡本碧優(みすぐ)だった。
 身長141cmと小柄な体で見せたパフォーマンスは圧巻だった。岡本の特長は、板に体重を乗せるのが非常に上手でスピードある滑りができることや、それに伴い、エアーと呼ばれる技に高さがあること、そして空中感覚にすぐれていること。デュー・ツアーでは岡本が得意とするスピードの出やすいコースの特性を十分に生かし、女子の公式戦で世界初となる「バックサイド540(ファイブフォーティ)」を成功。空中高く跳び上がりながら斜め軸で1回転半するこの大技を決めて、63・16点の高得点を出した。

 これには会場に訪れた米国のファンも目が釘付けになっていた。本場のDJも「13歳のミスグが大技をメークした!」と大きく盛り上がった。昨年の世界選手権金銀メダリストである四十住(よそずみ)さくらと中村貴咲(きさ)、さらに本場米国などのトップスケーターらも出場する中、優勝候補たちを抑えての勝利はまさに快挙。「優勝できるとは思っていなかったので、びっくりしました」と岡本自身も驚きを隠せない様子だった。

デュー・ツアーでは世界に衝撃を与えた(写真:ロイター/アフロ)

 しかし、それから1カ月後の7月中旬、中国・南京で行われた五輪予選対象大会の第2戦「国際オープン」で、岡本はその実力をあらためて世界に示す。デュー・ツアーのコースと比べるとスピードが出にくいデザインのコースながら、ここでも抜きん出たスコアで優勝を飾ったのだ。
 ただ、凄いのは東京五輪の金メダル候補筆頭に躍り出た岡本だけではない。国際オープンでは四十住が2位、中村が3位と日本勢が表彰台を独占している。また、女子パークにはこの3人以外にも、デュー・ツアーで3位になった10歳の開心那(ひらきここな)という伸び盛りの選手がいる。スケートボードは五輪出場の年齢制限がなく、開が東京五輪に出れば11歳10カ月での出場となり、日本選手としては男女を通じて史上最年少となる。

2018年アジア競技大会で金メダルを取った四十住(右)(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

スノボとの"二刀流"に挑戦する平野歩夢はじめ男子も熱い

 10代の台頭で活況を呈している女子だけではなく、パークは男子も熱い。2014年ソチ冬季五輪と18年平昌冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプで2大会連続銀メダルを取ったスノーボード界の世界的スター・平野歩夢が、今年からスケートボードに転向したことは大きな話題になっている。
 「板に足が固定されているスノーボード」と「板と足が離れるスケートボード」という、似て非なる種目で五輪出場を目指している姿はまさに"二刀流"。非常に難しい挑戦に取り組んでいる平野には世界も注目している。
 また、男子パークには18年アジア競技大会金メダルの笹岡建介、スキーで有名な長野県白馬村の中学2年生・永原悠路(ゆうろ)らスター候補は目白押しだ。

2019年日本選手権で滑る平野歩夢(写真:松尾/アフロスポーツ)

ストリートの選手も層が厚く期待が膨らむ

 ストリートに目を移すと、男子の堀米(ほりごめ)雄斗はこの種目の金メダル候補として各国のライバルたちが一目置いているスケーターだ。20歳にして今年5月には米国で自身の名の付いた板が発売された、世界でも選りすぐりの評価を受けるプロスケーター。スケートボードは6歳頃から始めたというが、最初にやっていたのはパークの方。このため、東京五輪ではストリートとパークの2種目に出る可能性もある。
 ほかにも、国際大会での実績が豊富な8月4日に19歳になる池田大亮(だいすけ)や、デュー・ツアーで2位になった17歳の白井空良(そら)もいる。10代を中心とするメンバーが互いに刺激し合って成長しており、今後もさらに成績を伸ばしていきそうだ。

堀米雄斗は2種目に出る可能性もある(写真:アフロスポーツ)

 一方の女子ストリートにも18年1月の世界選手権で優勝した西村碧莉をはじめとするメダル候補がいる。スケートボードは男女パーク、男女ストリートの4種目で各20人が出場できる。いずれも今年9月に開かれる世界選手権の上位3人と、国際連盟が定める19~20年5月31日までの世界ランキング上位が出場資格を得る。日本は全4種目に1人ずつ開催国枠が与えられており、各種目最大で3選手が出場可能。複数の実力者が束になってメダルを狙えることも、期待が膨らむ理由だ。

サーフィン、スポーツクライミング、空手にも注目だ

 このほか、男子サーフィンの五十嵐カノア、男子スポーツクライミングの楢﨑智亜(ともあ)、同女子の野中生萌(みほう)、野口啓代(あきよ)らもアーバンスポーツ界の新旗手として東京五輪で頂点を狙っている。
 もちろん、沖縄が発祥である空手も負けていない。種目は突き、蹴り、打ちを早く正確に決めてポイントを取った方が勝つ「組手」と、技の正確さや力強さなどを競う「形」がある。男子形の喜友名(きゆな)諒、女子形の清水希容(きよう)はいずれも金メダル候補。空手人気の高い欧州に多くの強豪がそろう組手は争いが厳しいが、男子75kg級の西村拳や、女子68kg超級の植草歩らが表彰台を狙う。

2018年世界空手道選手権大会で準優勝した清水希容(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 アーバンスポーツに日本発祥の武道と、東京五輪の新競技はどれも魅力が満載。これからの1年間で急激に成長する若手の出現も含めて大いに楽しみだ。

(文・矢内由美子)


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